持続化補助金 経営計画書の書き方|様式2の9項目を順に埋める【2026年最新】

様式2の9項目を順に埋める|持続化補助金ガイド

このページは 計画書の書き方 の一部です。

「経営計画書を書いてください」と言われても、何から手をつければよいか分からない。窓口でいちばん多いご相談がこれです。9項目を順番どおりに埋めるのではなく、まず指標で課題を1つ見つけてから書き始める方が早いと考えています。

実は、経営計画書(様式2)に書く項目は9つに決まっています。順番も決まっています。この9つを順に埋めていけば、審査で見られる観点はひととおり満たせる構造になっています。

この記事では、9項目それぞれについて「何を書くのか」「どう書くと評価され、どう書くと評価されないのか」を、実際の審査の観点と対応させて解説します。

目次

この記事でわかること

  • 経営計画書に書く9項目と、その順番
  • 審査で見られる4つの観点と、どこを見られるか
  • 項目ごとの「良い例」と「悪い例」
  • 書き終えたあとに確認すべき5点

経営計画書は9つの項目でできています

まず全体像です。

経営計画書の全体像。9項目を内部環境・外部環境・経営目標の3つに分けた図

9項目は、大きく3つのかたまりに分かれます。

  • STEP1 現状を分析する … 内部環境5項目(1-1/1-2/1-3/3-1/3-2)と、外部環境2項目(2-1/2-2)
  • STEP2 目標とプランを立てる … 経営目標2項目(4-1/4-2)
  • そのうえで、補助事業計画書(様式2後半)へ引き継ぐ

番号が飛んでいるのは、様式の並びと分析の順番が違うためです。書く順番は「1→3→2→4」と考えてください。自社を見て、市場を見て、そのうえで目標を立てる流れです。

第19回公募から電子申請の入力形式になり、項目ごとに入力欄が分かれました。どの項目も空欄では先に進めません。 分量の目安はA4で3〜6ページ程度です。


審査で見られるのは4つの観点

次に、何をどう見られるのかです。

審査の4観点と配点の目安。経営計画書が約40%、補助事業計画書が約40%、加点項目が10〜20%

配点の目安は、経営計画書が約40%、補助事業計画書が約40%、加点項目が10〜20%です。8割方はこの計画審査で決まります。

ここで大事なことを1つ。革新性は求められていません。 公募要領の審査の観点に「革新的であること」という文言はありません。新しいことを考えつかなければ通らない、というものではないのです。

求められているのは、自社の状況を正しく分析し、その分析に沿った計画になっているかです。

審査員はあなたの事業を知りません

もう1つ、前提として知っておいていただきたいことがあります。

1社あたりの審査時間は10〜15分程度と言われています。審査員は中小企業診断士ですが、あなたの業界にも、あなたの地域にも詳しいとは限りません。

ですから、できる限り簡単に、要点だけを伝える必要があります。凝った文章より、写真や数字を使って一目で分かるようにする方が有利です。


1. 企業概要(1-1 自社の概要/1-2 現在の売上・利益の状況/1-3 経営課題)

自社の経営状況を、きちんと把握できているかを見られる項目です。

こう書くと評価されません こう書きます
会社の紹介 文章だけ 店舗や商品の写真、ホームページの画像を貼る
経営の状況 売上高だけを書く 過去2〜3期の売上高・売上総利益・営業利益の推移を書く
状況の変化 直近3年の動向に触れていない 客数と客単価の変動を書く
商品・サービス メニューを並べただけ 特徴やセールスポイント、販路を書く
ターゲット 誰に売っているか分からない ターゲット顧客を明確にする

売上を「客数 × 客単価」に分解する

1-3の経営課題を書くときのコツです。売上高をそのまま眺めても、原因は見えてきません。

売上高 = 客数 × 客単価

客数  = 新規客 + 既存客

客単価 = メニュー単価 × 買上げ点数

このように分解すると、問題がどこにあるかが見えてきます。

  • 新規客が減っている → 宣伝広告が足りない、口コミが起きていない
  • 既存客が減っている → 次回の来店を促せていない、常連向けのサービスが不足
  • 客単価が下がっている → メニューを改定していない、関連購買を促せていない

「売上が減った」ではなく「新規客が減ったことで売上が減った」まで書けると、経営課題として成立します。

同業と比べる

もう一段深めるなら、粗利益率(売上高総利益率)を同業の平均と比べてください。

日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」は、業種別に細かく集計されており、業界平均だけでなく「黒字かつ自己資本プラスの企業の平均」も載っています。自社が目標とすべき数字が明確になります。

  • 粗利益率が同業より低い → 付加価値を上げる(値上げ、商品開発)
  • 粗利益率は問題ないのに利益が出ない → 人件費比率、一人当たり売上高を確認する

1-1 自社の概要は創業の経緯と写真で

様式2の最初の項目は「1-1 自社の概要」です。この項目で最も多い失敗は、商品名を並べただけで終わることであると考えています。審査員は、あなたの事業を知りません。何を、誰に、どのように提供しているかを、初めて読む人に向けて書く必要があります。

審査で見られること

審査の観点①「自社の経営状況分析の妥当性」の入口にあたる項目です。ここで事業の全体像が伝わらないと、後の分析がすべて宙に浮きます。

悪い例は「文章のみで写真が無い」「商品・サービスのメニューが並んでいるだけ」「誰に向けて商売しているのかが分からない」の3つです。良い例は、店舗や商品の写真を掲載し、ホームページの画像を貼り、特徴や販路を明記し、ターゲット顧客が明確になっているものです。

事務局の記入例はどこが弱いか

公募要領に付いている記入例(喫茶店)は、概要・立地・主な商品を箇条書きで整理しており、様式の埋め方としては参考になります。一方で、写真等での表現が無く、創業の経緯や代表の経歴に触れていないため、事業の「顔」が見えません。審査員に10〜15分で覚えてもらうには、文字だけでは足りないと考えています。

書き方の型

採択された計画書を読み比べると、この項目は次の順で書かれています。

①所在地の特徴(郊外・海沿い・人口1万人規模の町等)、創業年、業態を1〜2文で示します。

②主力商品と販路を具体的に書きます。「コース料理を中心に客単価4,000円程度」「道の駅や農産物直売所」等、数字と固有の場所を入れます。

③創業の経緯を1段落で書きます。前職の経験、家族の出来事、承継のきっかけ等、その事業者にしか書けない内容です。

④店舗・商品・車両の写真を1〜2枚入れます。

実例文(匿名・トレーニングジム)

当事業所は、コンディショニングを中心としたトレーニングジムとして設立し、今年10年目を迎えました。提供しているのは、動的ストレッチマシンを利用したトレーニングです。他のフィットネスクラブで提供している筋力トレーニングとは違い、軽い負荷で行うトレーニングとなっており、近隣に在住するアスリートの疲労回復に多く利用されています。

当事業所の名称は、脊髄を意味する言葉から付けています。かつて代表の父親が脊髄損傷を患い、コンディショニングを通じて回復した経緯を持つことから、同じ悩みを抱える多くの方のためにこの技法を広めたいと考え、起業するに至りました。

実例文(匿名・キッチンカー)

当事業所は、主にキッチンカーによるクレープの販売を手掛けており、開業から4年目を迎えています。クレープの販売を開始する以前は自動車の鈑金塗装業に従事しており、身近にキッチンカーの製造に接する機会がありました。現在は近隣の大型商業施設の敷地を中心に出店しており、常連客についても確保できている状況です。

確認する3点

①初めて読む人が、何を売っている事業者か1段落で分かるか。②創業の経緯に、その事業者にしか書けない内容が入っているか。③写真が1枚以上入っているか。

1-2 売上・利益は指標との差を数字で

「1-2 現在の売上・利益の状況」は、経営計画書の中で最も差がつく項目であると考えています。売上の推移を書いただけの計画書と、同業他社の指標と比較した計画書では、審査員が受ける印象がまったく違います。

審査で見られること

審査の観点①「自社の経営状況分析の妥当性」の中心です。減点される申請書は「決算書の数字に基づく経営状況が把握できていない」「把握のみで分析ができていない」の2つです。

悪い例は、売上のみを書いたもの、商品の売上ランキングを載せただけのものです。良い例は、過去2〜3期の売上・売上総利益・営業利益の推移を記載し、経営指標と比較し、客数×客単価で売上を分解しているものです。

事務局の記入例はどこが弱いか

記入例は、事業別の売上と商品別の売上ランキングを表にしています。数字は入っていますが、同業他社との比較が無いため、その数字が良いのか悪いのかが読み取れません。分析結果と経営課題が連動していない点が、記入例の最大の弱点であると考えています。

書き方の型

採択された計画書は、ほぼ例外なく次の3段で書かれています。

①売上の推移を、年と金額で書きます。「令和5年66,495千円から令和6年78,117千円と、年率10%超の向上」のように、増減率まで示します。

②日本政策金融公庫「小企業の経営指標(業種名)」との比較を1文で書きます。「売上総利益率は同業他社を2%上回っている一方、従業員1人当たり売上高は3,624千円下回っている」のように、差を数字で示します。

③差が生じている理由を1〜2文で書きます。ここが次の「経営課題」につながります。

実例文(匿名・葬祭業)

当社の売上高は、感染症拡大下と比較して増加しております。若干ながら営業利益を計上できる水準まで回復してはいるものの、依然として厳しい経営環境が継続しています。

当社の経営状況を分析するため、日本政策金融公庫の発行している小企業の経営指標より、葬祭業のデータを参照いたしました。当社と指標企業を比較すると、売上総利益率に大きな差異が発生していることが明らかとなりました。当社の売上総利益率は37.7%であるのに対し、指標は67.5%となっており、29.8ポイントの差異が生じています。生花や香典返し、葬儀場の利用料等が高騰しており、充分に価格転嫁できていない状況が継続しています。

その影響は、当社の人件費対売上高比率が低い点にも現れています。当社の人件費対売上高比率は18.0%となっており、同業他社の32.9%を大きく下回っています。収益性の低さを、家族従業員を中心とした安価な労働力でカバーしている状況です。

確認する3点

①売上の推移に年と金額が入っているか。②小企業の経営指標との差が数字で書かれているか。③差の理由が、次の経営課題につながっているか。

1-3 経営課題は1点に絞って言い切る

「1-3 経営課題」は短い項目ですが、ここで書いた課題が補助事業計画書の出発点になります。課題は1点に絞る必要があると考えています。課題を並べるほど、補助事業がどの課題を解決するのかが曖昧になるためです。

審査で見られること

審査の観点①の締めくくりであり、観点③「補助事業計画の有効性」の起点でもあります。経営課題と補助事業が別方向を向いている「乖離」が、最大の減点要因となっています。

悪い例は「直近3年の動向、経営課題について記載が無い」ものです。良い例は、客数・客単価の変動を記載し、経営課題を把握しているものです。

事務局の記入例はどこが弱いか

記入例は、店主とアルバイト1名で作業をこなしており人手が足りない、借入の返済が重い、という記述になっています。人手不足と返済負担は事実ではありますが、売上・利益の分析から導かれた課題ではありません。分析結果と課題が連動していない点が弱いと考えています。

書き方の型

採択された計画書の課題は、次の形で書かれています。

①「1-2」で見つけた指標の差を1つ選びます。粗利率か、人件費比率か、1人当たり売上高か、客数かのいずれかです。

②「当社の課題は何よりも『○○』にあると考えています」と1文で言い切ります。

③その課題が事業の継続にどう影響するかを1〜2文で添えます。「このままでは従業員の継続雇用が困難になる」「夫婦2名の営農にはいずれ限界が来る」等です。

④売上が課題の場合は、客数か客単価かまで分解します。

実例文(匿名・日本料理店)

当店の課題は何よりも「高い原価率」にあると考えています。原価率改善のため、メニューの値上げ等に取り組んでいるものの、それ以上の仕入価格上昇により、抜本的な改善が必要となっています。

実例文(匿名・れんこん農家)

当事業所の経営課題は何よりも「商品の付加価値を向上させる」点にあると考えています。現在の運営状況は、夫婦2人での営農となっています。売上・利益共に向上しつつあるものの、業務負荷が高くなっており、今後年齢を重ねていった場合、いつまで事業を継続できるかわからない状況です。従業員を雇用する等、事業を拡大していくためには、お客さまに提供する商品の付加価値を向上させることで、単価を上げていくことが必要となっています。

確認する3点

①課題は1つに絞られているか。②その課題は「1-2」の指標の差から導かれているか。③補助事業計画書の「背景・目的」に、同じ課題が再掲されているか。

2. 顧客ニーズと市場の動向(2-1 市場の動向/2-2 顧客ニーズ)

対象とする市場や商圏の特性を踏まえているかを見られます。2つは分けて書く必要があります。

こう書くと評価されません こう書きます
顧客ニーズ 「◯◯という顧客がいる」程度 ニーズが増えているのか減っているのかを数字で示す。直接聞いた「お客さまの声」を反映する
市場の動向 自社の状況しか書いていない 消費動向、競合の出店状況、新聞記事等の新しい動きを数字で示す
ターゲット 設定が大まかすぎる 顧客ニーズと市場の動向に沿ったターゲットを設定する

数字の裏づけは無料で取れます

ここで多くの方がつまずきます。「市場が伸びていると書きたいが、根拠がない」という状態です。

無料で使える公的統計で解決できます。

  • 家計調査(総務省統計局)… 1世帯あたりの品目別支出額の推移が分かります。自分の業種に近い品目を探し、支出が伸びているか縮んでいるかを見ます
  • jSTAT MAP(e-Stat)… 地図上で商圏を指定すると、人口・世帯数・年齢構成のレポートが出ます。徒歩圏なら0.5km、自転車圏なら2kmが目安です
  • RESAS(地域経済分析システム)… 人口推移、人口ピラミッド、産業構造が分かります

さらに、家計調査と商圏調査を掛け合わせると推定市場規模が出せます。

1世帯あたりの年間支出額 × 商圏内の世帯数 = 推定市場規模

この数字が書けると、計画書の説得力が大きく変わります。

各ツールの具体的な使い方は、画面つきで別記事に解説しています。
家計調査で市場の伸びを調べる手順/jSTAT MAPで商圏を数字にする手順/RESASで人口と業界動向を調べる手順


2-1 市場の動向は年と円を3点で示す

「2-1 市場の動向」は、経営計画書でいちばん書きにくい項目であると考えています。「業界は厳しい」「需要は増えている」と書いても、根拠が無ければ審査員には伝わりません。

審査で見られること

審査の観点②「経営方針・目標と今後のプランの適切性」では、対象とする市場や商圏の特性を捉えているかが見られます。減点される申請書は、強み・市場・顧客ニーズを踏まえていないものです。

悪い例は「自社の置かれている状況の記載のみ」です。良い例は、消費動向や競合の出店状況を記載し、新聞記事等に書かれた新たな動きを参照し、数字で証拠を示しているものです。

事務局の記入例はどこが弱いか

記入例は「日本におけるコーヒーの消費量は増加傾向にあると判断できる」と書き、出典を添えています。方向としては正しいのですが、数字が無く、グラフも無く、商圏の情報がほぼありません。グラフで示せば納得性が出るのに、そこを省いている点がもったいないと考えています。

書き方の型

採択された計画書は、市場の動向を次の形で書いています。

①総務省統計局「家計調査」の品目を1つ選び、拡大前・底・直近の3点を年と円で書きます。「2014年の5,587円から2019年の7,327円へ拡大したのち、2020年に5,089円へ急減」のように書きます。

②家計調査に品目が無い業種は、業界統計を使います。二輪車の保有台数、観光庁の宿泊統計、県の直売所実態調査等です。

③商圏の変化を、経済産業省「RESAS」か総務省「jSTAT MAP」で1つ添えます。人口増加地域の有無、高齢化率、死亡数の推移等です。

④最後に「当社としては○○が必要であると考えています」と、市場の動向から導かれる方向を1文で書きます。

実例文(匿名・宿泊業)

市場の動向を確認するため、総務省統計局の調査による「家計調査」にて、宿泊料支出の推移を確認いたしました。インバウンド客の増加により、全国的に宿泊料支出は増加しています。しかし、足元では宿泊料支出は頭打ちとなっており、2025年7〜9月期においては、前年同期比で減少に転じていることが明らかとなりました。

宿泊料支出は、当社の売上構成における「客単価」に相当する支出項目となります。これがマイナスに転じていることで、今後大幅な客単価の向上は困難であると見込んでいます。

実例文(匿名・オートバイ整備業)

市場の動向を測るため、総務省の調査による「バイク国内保有台数」について資料を作成いたしました。全体のバイク保有台数は減少傾向にあるものの、251cc以上のバイクの保有台数は増加しています。特に2020年以降その増加が顕著となっています。当社の得意としている「大型オートバイ」については、ここ10年超を通じて1%以上の市場拡大が継続していることから、今後も安定的な市場であると見込んでいます。

確認する3点

①年と金額が3点以上入っているか。②出典(家計調査・RESAS・業界統計)が明記されているか。③市場の動向から「当社は○○が必要」という1文が導かれているか。

2-2 顧客ニーズは生の声を証拠に置く

「2-2 顧客ニーズ」は、「2-1 市場の動向」と分けて書く必要があります。市場の動向が「世の中の流れ」であるのに対し、顧客ニーズは「お客さまが何を求めているか」です。この項目には直接収集した声か、数字で示せる証拠のどちらかが必要であると考えています。

審査で見られること

審査の観点②で、顧客ニーズを捉えた方針になっているかが見られます。

悪い例は「○○という顧客が存在する」程度の記載です。良い例は、エビデンスを含めて顧客ニーズが「増えている」のか「減っている」のかが記載され、直接収集したお客さまの声が反映され、数字で証拠を示しているものです。

事務局の記入例はどこが弱いか

記入例は、贈答用セット商品の需要が高いことを店舗事業のデータで示しています。ここまでは良いのですが、結論として選んだ施策(オンライン授業等)が、示したニーズと食い違っています。ニーズと施策が別方向を向いている点が弱いと考えています。

書き方の型

採択された計画書の顧客ニーズは、次のいずれかの証拠を置いています。

①クチコミの引用。「海外向け予約サイトのクチコミに『バスタブは綺麗だが室内の年季が感じられた』との評価がある」のように、原文を短く引用します。

②価格の変動。「れんこんの卸売価格は11月と6月で2.5倍の差がある」のように、需給を価格で示します。

③第三者の調査。「訪日外国人が宿泊施設に求める設備のトップ3はWi-Fi・浴室・トイレ」のように、出典付きで引用します。

④人口ピラミッド。「商圏の高齢化率は49.4%であり、2人に1人が60歳以上」のように、ターゲット層の厚みを示します。

実例文(匿名・宿泊業)

顧客のニーズを調査するため、住宅設備メーカーによる「訪日外国人の宿泊施設へのニーズ調査」を確認いたしました。同調査によると、訪日外国人が宿泊施設に求める設備のトップ3は、「Wi-Fi」「浴室」「トイレ」であることがわかりました。

当社の宿泊施設については、充分なインバウンド対応が進んでおりません。特に「浴室」については、従来式の共同浴室となっており、これが外国人観光客の誘致を妨げている状況です。当社としては、今後外国人観光客の取り込みを強化するにあたり、「浴室」設備の改修が必要不可欠であると考えています。

実例文(匿名・れんこん農家)

顧客ニーズを確認するため、れんこんの「卸売価格の月別推移」を確認いたしました。れんこんの価格は、収穫がピークとなる11月〜12月に最も低くなり、その後徐々に上がっていき、収穫前の6月に最高値を付けます。11月と春〜初夏の価格差は2.5倍と大きくなっています。当事業所としては、一年を通じた販売を実現できる体制を整備することにより、れんこんの付加価値を向上させて販売することができると見込んでいます。

確認する3点

①クチコミ・価格・調査・人口構成のいずれかの証拠が入っているか。②ニーズが「増えている」か「減っている」かが読み取れるか。③そのニーズと、補助事業の施策が同じ方向を向いているか。

3. 自社や自社の提供する商品・サービスの強み(3-1/3-2)

「自社の強み」と「商品・サービスの強み」は、分けて書く必要があります。 電子申請でも入力欄が分かれています。

  • 3-1 自社の強み … ヒト・モノ・カネ・情報等、事業そのものが持つ、他社より優れた点
  • 3-2 商品・サービスの強み … お客さまから支持されている、同業他社との具体的な差別化要因
こう書くと評価されません こう書きます
商品の強み 「◯◯力が高い」「幅広いネットワーク」等抽象的 なぜ強みなのか、理由を具体的に書く
経営者・従業員 商品の強みしか書いていない 過去の経験、身につけた技術・知識に触れる
視点 強みが読み取れない ヒト・モノ・カネ・情報、またはQCD(品質・価格・納期)で整理する
補助事業との関係 強みと関係のない計画になっている 強みを活かした計画にする

「なぜ強みなのか」まで書く

いちばん多い不足がこれです。

  • ✕ 接客力が高い
  • ○ 店主が18年間、常連客の好みを記録し続けており、来店時に説明なく好みの品を出せる

抽象語のままでは、審査員には何も伝わりません。自社特有の、継続的な取り組みによるものであることが分かるように書いてください。


3 強みは3点・弱みは解決できるものを

第19回から、この項目は「自社の強み」と「自社の提供する商品・サービスの強み」が1つの欄にまとまり、代わりに「弱み」の記載が求められるようになりました。弱みの選び方が採否を分けると考えています。

審査で見られること

審査の観点①で、自社の製品・サービスや強み・弱みを適切に把握しているかが見られます。減点される申請書は「強みだけで弱みが無い」ものです。

悪い例は「○○力が高い」「幅広いネットワーク」のような抽象的な表現です。良い例は、なぜ強みになっているのかの理由が具体的に明記され、経営者・従業員の過去の経験や技術に言及し、ヒト・モノ・カネ・情報またはQCD(品質・価格・納期)の視点で整理され、補助事業計画との連動があるものです。

事務局の記入例はどこが弱いか

記入例の強みは「顧客第一のサービス」「品質の高いコーヒー豆」「手間暇をかけた焙煎」です。どれも事実であるとは思いますが、同業他社との差別化要因が読み取れず、主観的な感想に近くなっています。また、弱みとして挙げた「商品価格の高さ」は、補助事業(チラシ・ECサイト)では解決できません。この2点が弱いと考えています。

書き方の型

採択された計画書の強みは、次の形で書かれています。

①強みは3点に絞り、①②③の番号を付けます。

②各強みに「理由」を付けます。「代表はレーシングチームのメカニック経験を持つ」「メーカーからの部品供給が途絶えた車種の部品を、独自の調達網で入手できる」のように、他社にできない根拠を書きます。

③ヒト(経歴・資格・こだわり)、モノ(設備・調達ルート・立地)、カネ(指標で平均を上回る項目)の3つから1つずつ取ると、偏りません。

④弱みは、補助事業で解決できるものを1つ書きます。「大口径タイヤに対応する機器が無い」「宣伝広告を実施してこなかった」等です。

実例文(匿名・オートバイ整備業)

当社の強みは以下の3点にあると考えています。

①「旧車」の点検・整備ノウハウを持っています。旧車と呼ばれるヴィンテージ・オートバイは、車齢40〜50年超を経過している車両となり、当時の車両構造や車両ごとの癖を熟知した整備技術が求められます。

②「旧車」の部品調達ルートを有しています。メーカーからの部品供給が途絶えており、独自の調達網を用いて整備用部品を調達できている点も大きな強みであると考えています。旧車オーナー最大の不安である「修理不能」のリスクを解消することができています。

③レース向けの車両整備にも対応できます。過去のスペック以上の性能を引き出すことができる点は、他社に真似のできない当社ならではの強みであると考えています。

実例文(匿名・和菓子店の弱み)

当店は前経営者が高齢であったことから、充分な宣伝広告を実施して参りませんでした。また、看板は先代が作成したものであり、老朽化が進んでいるほか視認性が悪いものとなっております。新規顧客開拓のためには、看板を刷新し、店舗の視認性を向上させる必要があると考えています。

確認する3点

①強みは3点に絞られ、それぞれに理由があるか。②弱みが1つ書かれているか。③その弱みは、補助事業で解決できるものか。

4. 経営方針・目標と今後のプラン(4-1/4-2)

こう書くと評価されません こう書きます
経営方針 現状分析とかけ離れている 創業時の想いや経営理念に基づいた、一貫したものを書く
目標 補助事業の目的を書いてしまう 目標売上高、顧客数、売上利益率等の具体的な数値目標を書く。短期(5年以内)と長期(5年超)に分ける
今後のプラン 補助事業の計画を書いてしまう 「誰が」「何を」実施するかが読み取れるように書く

補助事業は「手段の一つ」です

🔴 ここが最大のつまずきポイントです。

4-1の目標欄に補助事業の目的を書いてしまう方、4-2のプラン欄に補助事業の計画をそのまま書いてしまう方が非常に多くいらっしゃいます。

補助事業は、経営目標を達成するための手段の一つです。目標そのものではありません。

正しい関係はこうです。

4-1 経営目標  … 5年後に売上を◯◯万円にする

↓ そのために

4-2 今後のプラン … 新規顧客を増やす/単価を上げる/新商品を出す

↓ そのうちの一つを

補助事業計画  … 今回の補助金で実施する

ここで書いた「今後のプラン」が、そのまま補助事業計画書に引き継がれます。 逆に言えば、4-2が具体的に書けていないと、補助事業計画書も書けません。


4-1 経営方針は理念1行、目標は数値1つ

「4-1 経営方針・目標」で最も多い失敗は、補助事業の目的をそのまま書いてしまうことです。経営方針は「何のために経営しているか」、経営目標は「数字で何を達成したいか」であり、補助事業はその手段の1つに過ぎないと考えています。

審査で見られること

審査の観点②「経営方針・目標と今後のプランの適切性」で、強みを踏まえているか、市場・顧客ニーズを捉えているかが見られます。

悪い例は「これまでの現状分析とかけ離れたものになっている」「補助事業の目的を記載してしまう」ものです。良い例は、創業時の想いや経営理念に基づいた一貫したものを提示し、具体的な数値目標(目標売上高・顧客数・売上利益率等)を示し、短期(5年以内)と長期(5年超)に分けているものです。

事務局の記入例はどこが弱いか

記入例の経営方針は「本物のコーヒーを体験していただきたい」となっており、想いは伝わります。一方で、経営目標としての数値が示されていません。数値目標が無いことが最大の弱点であると考えています。数値が無ければ、補助事業の効果を測る物差しがありません。

書き方の型

採択された計画書の方針と目標は、次の形で書かれています。

①経営方針は理念を1行で書きます。「目の前の人を笑顔にしたい」「地域の皆様に安心して葬儀を行っていただく」「従業員と地域社会の安心・安全を守る」等です。その理念に至った経緯を2〜3文添えます。

②経営目標は数値を1つ書きます。売上高(2,000万円・1,200万円・2.5〜3億円)、会員数(100名)、粗利率(37.7%から47.7%へ)、1人当たり売上高(16,000千円)、外国人比率(20%)のように、業種に合わせて選びます。

③その数値が「1-3 経営課題」の解決を意味するように選びます。課題が粗利率であれば目標も粗利率で書きます。

実例文(匿名・葬祭業)

当社は、地域密着型の葬儀会社として、何よりも「地域の皆様に安心して葬儀を行っていただく」ことを経営方針としています。これまでご愛顧いただいた基盤をベースに事業を継続できる体制を整えるにあたり、感染症の影響による環境変化に対応しなければならなくなっています。

経営課題にも記載したとおり、第一の経営目標は「売上総利益率の向上」にあります。現在の売上総利益率37.7%を、少なくとも10%高い水準である47.7%にまで改善し、収益を確保できる体制を構築したいと考えています。

実例文(匿名・トレーニングジム)

当事業の経営目標としては、事業の安定運営に足るだけの会員数を確保することにあると考えています。現在は十分な会員数を確保することができておりません。本事業を実施することにより、「会員数100名」を達成したいと考えています。

確認する3点

①経営方針は理念として1行で言えるか。②経営目標に数値が1つ入っているか。③その数値は、経営課題の解決を意味しているか。

4-2 今後のプランは2つに絞る

「4-2 今後のプラン」は、経営計画書と補助事業計画書をつなぐ蝶番です。ここで書いたプランが補助事業計画書の「背景・目的」にそのまま引き継がれる形が、整合性を保つ最も確実な方法であると考えています。

審査で見られること

審査の観点②と③の橋渡しです。減点される申請書は「経営計画と補助事業が別方向」のものです。

悪い例は「補助事業の計画を記載してしまう」ものです。良い例は、補助事業が目標を達成するための手段の1つとなっており、顧客ニーズと市場の動向を踏まえ、「誰」が「何」を実施するかが読み取れるものです。

事務局の記入例はどこが弱いか

記入例のプランは「新規顧客の獲得により売上増を目指す」と「卸売業への進出(長期プラン)」です。ニーズ調査をしないまま「売上増を目指す」としている点と、補助事業と無関係な新事業(卸売業)に言及している点が弱いと考えています。補助事業に関係の無い話は、審査員を迷わせるだけです。

書き方の型

採択された計画書のプランは、次の形で書かれています。

①プランは2つに絞ります。「付加価値の向上」と「客数の増加」の組み合わせが多くなっています。

②各プランに、ニーズと市場の動向から導かれた理由を付けます。

③補助事業で行うプランを先に書き、末尾で「そのため、当社は新たに『○○事業』に取り組みたいと考えています」と補助事業計画名を予告します。

④補助事業では行わないプランは、時期を分けて書きます。「まずは客単価の改善に取り組み、その後は定員増による客数の増加も実現可能になる」等です。

実例文(匿名・宿泊業)

上記経営目標を達成するため、以下の2つのプランを実現したいと考えています。

○インバウンド向け集客の実施

○浴室設備改修による満足度向上

インバウンド向け集客については、海外向け宿泊予約サイトに登録し、集客を実施しています。現在、当社の最大の課題となっているのが「浴室設備」になります。当社の宿泊施設は「ペンション」という形態から、大規模な浴室設備を設けることができません。現有の浴場施設を改修することにより、お客さまの利便性を向上させる必要があると考えています。

そこで、当社としては新たに「浴室設備改修による欧米インバウンド・サーファー誘致事業」に取り組むことで、外国人観光客を誘致したいと考えています。

実例文(匿名・日本料理店)

上記経営目標を達成するため、以下の2つのプランを実現したいと考えています。

①「発酵料理」の提供による付加価値の向上

②商圏の拡大による平日の稼働率向上

まずは、当店最大の経営課題である売上原価率を改善するため、「発酵料理」を提供することによる付加価値向上に取り組みたいと考えています。また、売上高向上のため、「発酵料理」の提供について情報発信を強化することにより、商圏の拡大を実現したいと考えています。

確認する3点

①プランは2つ以内か。②各プランに、市場・ニーズから導かれた理由があるか。③末尾で補助事業計画名が予告されているか。

なお、ここで挙げた経営課題は、補助事業計画書の実施事項・効果・経費まで同じ言葉で続ける必要があります。採否を伏せて読み直したところ、計画名・類型・本文・効果の締めで言葉が食い違っている申請書は、採択された側では4割ほど、そうでない側では6割ほどありました(落ちる申請書に共通する4つのこと)。

書き終えたら確認する5点

  • ① 過去2〜3期の売上高・売上総利益・営業利益の推移が入っているか
  • ② 強みに「なぜ強みなのか」の理由が書かれているか
  • ③ 市場の動向と顧客ニーズに、数字の裏づけがあるか
  • ④ 目標に具体的な数値が入っているか
  • ⑤ 4-2の「今後のプラン」と補助事業計画がつながっているか

⑤が最も重要です。経営計画書と補助事業計画書が食い違っていると、審査の観点③の評価が下がります。


よくある3つのつまずき

つまずき1:強みを抽象語で書いてしまう

「技術力が高い」「顧客対応が丁寧」だけでは、どの会社にも当てはまってしまいます。いつから、どんな取り組みで身についたのかまで書いてください。

つまずき2:弱み(経営課題)を書かない

強みだけを並べた計画書をよく見かけます。しかし審査の観点①は「自社の強みや弱みも適切に把握しているか」です。課題を書かないと、この観点が満たせません。

課題を書くことは、マイナス評価にはなりません。むしろ「把握できている」という評価になります。

つまずき3:経営計画書と補助事業計画書が別物になっている

現状分析は丁寧に書いたのに、補助事業の内容がそれと無関係、というケースです。強みを活かし、課題を解決する補助事業になっているかを、提出前にもう一度確認してください。


まとめ

  • 経営計画書の記載項目は9つ。書く順番は「自社を見る → 市場を見る → 目標を立てる」
  • 審査は4つの観点。配点の8割方は計画審査で決まる
  • 革新性は求められていない。 分析と計画の一貫性が問われる
  • 強みは「なぜ強みなのか」まで書く
  • 市場の動向は公的統計で数字の裏づけを取る
  • 4-2の「今後のプラン」が補助事業計画につながる

書き方の型が分かれば、経営計画書は埋められます。それでも迷われる場合は、お近くの商工会・商工会議所の窓口をご利用ください。経営指導員が一緒に考えてくれます。


参考


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この記事を書いた人

中小企業診断士・応用情報技術者。金融機関の窓口相談を9年間担当し、並行して商工会・商工会議所の窓口相談を10年以上担当。延べ500社以上に対応し、小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超。千葉県商工会連合会 エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家。

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