「補助金でホームページを作りたい」というニーズは非常に多いものです。ホームページ制作は対象になりますが、第20回(2026年)から取扱いが大きく変わりました。古い情報のまま計画すると、組み立て直しが必要になります。ホームページ制作を補助金で行う場合、自社で更新できる体制があるかどうかが判断の分かれ目になると考えています。
本記事では、ウェブサイト関連費の対象範囲と、2026年からの変更点・対策を解説します。筆者は中小企業診断士として、商工会・商工会議所の窓口で延べ500社以上のご相談に対応し、採択支援を100社超実施してまいりました。
本記事の情報について
2026年7月21日改版の第20回公募要領(第8版)等をもとに整理しています。申請時は必ず最新の公募要領・参考資料でご確認ください。
1. ウェブサイト関連費の対象範囲
ウェブサイト関連費は、販路開拓のためのウェブ施策が対象です。具体的には次のようなものです。
| 対象になりやすい | 対象外となるケース |
|---|---|
| 商品販売のためのウェブサイト制作 | 宣伝広告用でないウェブサイト |
| ECサイト・ネットショップの構築 | 単なる会社案内のみのサイト |
| インターネット広告(検索・SNS等)の出稿 ※現状は広報費扱い | 成果物のないコンサル・アドバイス費用 |
| 商品・サービス紹介の画像・動画撮影 | 求人サイト・採用ページ |
| ― | 会社概要・沿革だけのコーポレートサイト |
ポイントは、「販路開拓(売上につながる)ためのウェブ施策か」どうかです。単なる会社紹介や、成果物の残らないコンサルティング費用は対象になりません。
求人サイトと、会社案内だけのサイトは対象になりません
動画や写真の撮影を外注する場合、その制作費の中にモデルの出演料が含まれることがあります。制作一式に含まれているのであれば、撮影費の一部として説明できます。
一方で、モデル代だけを単独で支出する場合は、対象として認められるのは難しいと考えています。公募要領に明記がありませんので、計上する予定があるときは、商工会・商工会議所を通じて事務局へ必ずご確認ください。
一方で、同じサイト制作であっても、販路開拓につながらないものは対象になりません。とくに間違えやすいのが、求人サイト・採用ページと、会社案内だけのコーポレートサイトの2つです。
求人サイトは、目的が人材の募集であって販路開拓ではありませんので、対象になりません。会社概要と沿革だけのコーポレートサイトも、商品やサービスの販売につながる作りになっていなければ、同じく対象外です。
判断の基準は、そのサイトを作ることで新しいお客さまに届くかどうかであると考えています。商品やサービスのページと料金、問い合わせの導線を備えたうえで、誰に何を届けるためのサイトかを申請書に書けるかどうかで判断してください。
2. 何が変わったのか(第19回→第20回)
| 項目 | 第19回まで | 第20回(2026年〜) |
|---|---|---|
| 広報費の上限 | 限定的な定め | 上限30万円(税込) |
| ウェブサイト関連費の上限 | 補助金交付申請額の1/4(最大50万円) | 上限30万円(税込) |
| 単独での申請 | 可能な場合あり | 不可(他経費との組み合わせ必須) |
ポイントは2つです。それぞれに30万円(税込)の上限がついたことと、どちらも単独では申請できなくなったことです。
とくにウェブサイト関連費は、第19回までの「交付申請額の1/4(最大50万円)」から定額の30万円(税込)へ変わりました。1/4の制限がなくなったため、他の経費の額に左右されずに使えるようになった一方で、総額は抑えられています。ホームページやECサイトの制作費を大きく計上していた計画は、見直しが必要になります。
なお、SNS広告やインターネット広告等は、広報費として整理されています。以前はウェブサイト関連費として計上するルールでした。外部業者等が高額な請求をしていたことが、この変更につながったのではないかと見込まれます。
3. 「単独申請不可」とはどういうことか
広報費だけ、あるいはウェブサイト関連費だけ、という計画では申請できなくなりました。たとえば「ホームページ制作費のみ50万円」という構成は、第20回では認められません。
必ず、機械装置等費・展示会等出展費・新商品開発費・委託外注費等、他の補助対象経費と組み合わせる必要があります。
4. これからの申請戦略
対策①:他の経費と組み合わせる
広報費もウェブサイト関連費も単独では申請できませんので、機械装置等費・展示会等出展費・新商品開発費等と組み合わせます。たとえば「新商品の開発(新商品開発費)+その販売サイト(ウェブサイト関連費)」や、「新サービス提供用の機器(機械装置等費)+それを告知するチラシ(広報費)」といった構成です。単独申請不可の制約を満たしつつ、補助上限額も活かせます。
対策②:広報費・ウェブの配分を上限内に収める
広報費・ウェブサイト関連費は、それぞれ30万円(税込)が上限です。両方を使えば合計60万円までですが、補助率2/3を踏まえた全体の補助上限(基本50万円・特例で最大250万円)の範囲で設計する必要があります。経費配分は、見積を取りながら早めに詰めることをおすすめします。
対策③:上限30万円の中で優先順位をつける
30万円(税込)に収まるよう、本当に必要なウェブ施策に絞ります。サイト全体を一度に作り込むより、販路開拓に直結する機能(EC機能・予約機能等)を優先するのが現実的です。
対策④:ホームページを「目的」ではなく「手段」に
「ホームページを作ること」自体が目的の計画は通りにくくなりました。自社の経営課題(客数なのか客単価なのか)を示し、その解決手段としてウェブサイトや広報を位置づけ、効果を数値で説明できる構成にすることが、これまで以上に重要であると考えています。
対策⑤:配布物には商品名かQRコードを入れる
社名・ロゴだけを入れた配布物は、広報費の対象になりません。商品名・商品写真・商品ページへのQRコードのいずれかを入れ、宣伝広告であることが見てわかる状態にしておきます。詳しくは 買えないもの一覧 の広報費をご覧ください。
5. 変更の背景(診断士の視点)
ウェブサイト関連費は、これまで申請が多く、また成果物の確認が難しい経費でもありました。上限と単独申請不可が設けられた背景には、補助金を「販路開拓の取組全体」を支援するものとし、ウェブ単発の支出に偏らせない狙いがあると考えています。ホームページを「目的」ではなく「販路開拓の手段の一つ」として位置づけることが求められているといえます。
6. よくある質問(FAQ)
Q. ECサイトの構築費も上限30万円ですか?
はい。ECサイトや自社ウェブサイトの制作費はウェブサイト関連費にあたり、上限30万円(税込)・単独申請不可の対象です。
Q. チラシと看板はどちらの費目ですか?
チラシ・ポスター・看板・新聞折込等は広報費にあたります。こちらも上限30万円(税込)・単独申請不可です。
Q. 動画・写真の撮影費は対象ですか?
商品・サービス紹介のための撮影費は、ウェブサイト関連費として検討できます。ただし上限・要件の対象です。
Q. ホームページの保守・更新費は対象ですか?
補助事業期間内のものに限られます。補助事業期間が終了した後の継続費用は対象外となります。
Q. 上限を超えた分はどうなりますか?
上限を超える部分は補助対象外となります。超過分は自己負担での実施を検討することになります。
7. まとめ
- ホームページ・ECサイト・ネット広告・撮影費は、販路開拓目的ならウェブサイト関連費の対象です。
- 求人サイトと、会社案内だけのコーポレートサイトは対象になりません。
- 第20回(2026年)から、広報費・ウェブサイト関連費ともに上限30万円(税込)・単独申請不可に変わりました。
- 他経費と組み合わせ、上限内で優先順位をつけ、ウェブを「手段」として位置づけるのが有効です。
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ご注意(免責事項)
本記事は制度の正確な理解に努めて作成していますが、申請にあたっては必ず最新の公募要領・参考資料・よくあるご質問をご確認ください。また、事業計画書・申請書の作成方法に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく個人的な見解であり、補助金事務局・中小企業庁・経済産業省の公式見解とは異なる場合があります。最終的なご判断は、商工会・商工会議所や事務局にご確認のうえお願いいたします。
筆者プロフィール
中小企業診断士・応用情報技術者です。金融機関の窓口相談を9年間担当し、並行して商工会・商工会議所の窓口相談を10年以上務めています。延べ500社超のご相談に対応しており、小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超となっています。千葉県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家を務めています。
参考(一次情報)
・小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉第20回 公募要領(第8版・2026年7月21日改版)/公募要領 新旧対照表(2026年5月27日)

