計画書の書き方|様式2を、審査の4観点に沿って埋める

様式2は、前半が経営計画書、後半が補助事業計画書で構成されています。私は、この2つが噛み合っていないことが、最も多い減点要因であると考えています。

このページは、どの順に何を書くかの道案内です。各項目の詳しい書き方は、個別の記事にまとめています。

前提:審査員はあなたの事業を知りません

  • 1社にかける時間は10〜15分程度です
  • 経営計画書はA4で最大8ページですが、実際に書かれているのは4〜5ページが多くなっています
  • できる限り簡単に、要点だけを伝える必要があります。凝った文章は読まれません

審査で見られる4つの観点

#観点見られる点減点される申請書
自社の経営分析の妥当性経営状況を適切に把握し、商品・サービス、強み・弱みを掴んでいるか決算書の数字に基づく分析が無い。強みだけで弱みが無い
経営方針・目標と今後のプランの適切性強み・弱みを踏まえているか。市場・商圏の特性を把握しているか強み・市場・顧客ニーズを踏まえていない
補助事業計画の有効性🔴 経営計画との整合性。乖離が最大の減点要因経営計画と補助事業が別方向。創意工夫・デジタル活用の記載が無い
積算の透明性・適切性事業に必要か、経費計上ルールに則っているか、事前に見積を取っているか対象外経費が入っている。見積を取らずに金額を書いている

配点の目安は経営計画書40%・補助事業計画書40%・加点10〜20%となっています。つまり、8割方が計画書の記述で決まります。革新性はそこまで求められていません。

🔴 整合性のNG例

経営計画:「利益率が低いので、利益率を上げたい」
補助事業計画:「チラシを配って客数を増やす」

課題は利益率であるのに、打ち手は客数になっています。これが乖離です。
OK:「利益率が低い → 粗利の高い自社製品を開発し、粗利率を○%改善する」

前半:経営計画書(様式2の9項目)

項目書くこと使う分析採択された計画書に共通する型
1-1 自社の概要何を、誰に、どう提供しているか創業の経緯を1段落。店舗・商品の写真を入れる
1-2 売上・利益の状況数値の推移。同業平均との比較経営指標「指標より○%低い」「○千円下回る」と差を数字で書く
1-3 経営課題1-2から導かれる課題。売上か粗利か経営指標課題は1点に絞る。「当社の課題は何よりも○○にあると考えています」
2-1 市場の動向商圏の人口・世帯数、業界の増減jSTAT MAP/RESAS年と円を3点(拡大前・底・直近)で示す
2-2 顧客ニーズその市場は伸びているか家計調査人口ピラミッドの比率、クチコミ・価格差等の生のデータ
3 強み・弱みヒト・モノ・カネ・情報/QCDの切り口で経営指標強みは3点を①②③で。弱みは補助事業で解決できるもの
4-1 経営方針・目標方向性と数値目標方針は理念1行、目標は数値1つ(売上・会員数・粗利率)
4-2 今後のプラン目標を達成する具体策2つに絞り、末尾で補助事業計画名を予告する

数字の裏づけの取り方は → 自社分析の進め方

後半:補助事業計画書(4ブロック)

ブロック要点
補助事業計画名(30文字以内)🔴 20文字後半まで使い切ります。「○○による○○事業」の形で、何を提供する事業かを表現する
販路開拓等の取組内容具体性と実現性。誰が・いつ・どの経費を・何のために。写真とスケジュールを入れる
業務効率化の取組内容必須ではない。書く場合は「作業動線の修正」等、販路開拓と重複しても構わない
補助事業の効果🔴 数値による収益計画を必ず載せる

出発点は、経営計画書の「4-2 今後のプラン」です。補助事業は、そのプランを実現する手段の1つという位置づけで書きます。

採択された計画書を読み比べると、具体的な取組は「機器名」のあとに「なぜその機器でなければならないか」が書かれています。また、実施体制には商工会・商工会議所と金融機関を明記し、効果は①②③の番号で列挙したうえで、3年の売上計画を経営目標の数値に着地させています。私は、この型に沿って書くことが、整合性を保つ最も確実な方法であると考えています。

事務局の記入例は、そのまま真似しない方がよい

公募要領に付いている記入例は「様式の埋め方」を示すものであり、採択される計画書の見本ではありません。実際に窓口で使う目線で読むと、次のような弱さがあると考えています。

箇所気になる点
企業概要写真等での表現が無い。売上・収益の分析が不足し、分析結果と経営課題が連動していない
市場の動向「増加傾向と判断できる」と書くだけ。グラフで示せば納得性が出る。商圏の情報がほぼ無い
顧客ニーズ挙げたニーズと、結論として選んだ施策が食い違っている
強み・弱みヒト・モノ・カネ・情報やQCDの切り口が無く主観的な感想。弱みが補助事業で解決できない
経営方針・目標方針が明示的でない。数値目標が無い
今後のプランニーズ調査をしないまま「売上増を目指す」。補助事業と無関係な事業に言及
補助事業計画名18文字と短い。30文字を使い切っていない
経費明細商圏分析が無いまま10万部のチラシ配布。2km圏に10万世帯が居住しているかの確認が無い。ウェブサイトの口コミ機能が売上向上につながる分析が無い
同上🔴 ウェブサイト関連費の交付申請額が0円。補助金が出ないのに補助事業として実施する意味が読み取れない

※ 記入例を否定するものではありません。様式の使い方は記入例で、中身の作り方はこのサイトで、と使い分けていただくのが現実的であると考えています。項目ごとの書き方は、次の9本にまとめています。

まずA4一枚にまとめることをお勧めしています

様式2を最初から埋め始めるのではなく、まずA4一枚に「内部環境(指標で見つけた課題)」「外部環境(商圏と市場)」「今後の方向性」「補助事業」の4区画を作り、それぞれ2〜3行で書くことをお勧めしています。この1枚ができていれば、様式2の9項目は肉付けの作業になります。また、この1枚は持続化補助金に限らず、他の補助金のベースにもなります。

書き終えたら確認する5点

  • ① 経営課題と、補助事業でやることが同じ方向を向いているか
  • ② 市場・商圏に出典つきの数字が入っているか
  • ③ 弱みを書いたか。それは補助事業で解決できる弱みか
  • ④ 効果に数値の試算が入っているか
  • ⑤ 対象外経費を計上していないか(経費の判断

加点

時間に余裕があれば、経営力向上計画事業継続力強化計画の取得を検討する価値があると考えています。第20回からは健康経営優良法人加点地域別最低賃金引上げ加点が新設されています。選択できるのは、重点政策加点1種類・政策加点1種類の計2種類までとなっています。

次に読む

ご注意(免責事項)

計画書の作成方法に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく個人的な見解であり、補助金事務局・中小企業庁・経済産業省の公式見解とは異なります。申請にあたっては必ず最新の公募要領・記入例をご確認ください。個別のご相談は、お近くの商工会・商工会議所の窓口をご利用ください。