「持続化補助金を使いたい」とご相談をいただくことが多いのですが、やりたいことに対して制度が小さすぎる、あるいは大きすぎるケースが少なくありません。制度は8つありますが、私は、選び方は驚くほど単純であると考えています。
結論:先に「何にいくらかかるか」を見積もります。金額が決まれば、制度はほぼ自動的に決まります。
まず金額で振り分けます
| 必要な支出額 | まず検討する制度 |
|---|---|
| 〜75万円 | 小規模事業者持続化補助金(一般型・特例なし) |
| 75万〜300万円 | 持続化補助金の各特例/創業型、デジタル化AI導入補助金 |
| 300万〜1,000万円 | ものづくり補助金、中小企業省力化投資補助金、事業承継補助金 |
| 1,000万円〜 | 新事業進出補助金、成長加速化補助金ほか |
持続化補助金で200万円以上を狙うには、賃金引上げ特例(+150万円)が必要となります。賃上げの要件を達成できないのであれば、そもそも別の制度を見た方が早いという判断になります。
主要8制度の比較
| 制度 | 何に使えるか(費目の例) | 規模感 |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓。機械装置・広報・ウェブ・展示会・店舗改装等、費目の汎用性が最も高い | 50万〜250万円 |
| デジタル化AI導入補助金(旧・IT導入補助金) | ソフトウェア導入費。会計ソフト・管理システム等。PCやインボイス対応レジも対象になるが少額。クラウド利用料は最長2年分 | 中小規模 |
| 中小企業省力化投資補助金 | 省力化につながる設備。カタログ掲載品(券売機・精算機・ロボット等)と任意の設備の2類型 | 中〜大規模 |
| ものづくり補助金 | 機械装置・システム構築費が中心。運搬費・専門家経費・外注費も対象。製造業の利用が多い | 750万〜3,000万円 |
| 新事業進出補助金 | 従来と別の新事業向け。建物費が使えるほか、既存事業の廃業・在庫処分・解体費用も対象 | 大規模 |
| 事業承継補助金 | 設備費・機械装置・建物改修と用途が広く、M&Aの仲介費用も対象。5年以内に承継を控える事業者に限られる | 800万〜1,000万円 |
| 中小企業成長加速化補助金 | 大規模投資 | 5億円 |
| 中堅・大規模成長投資補助金 | 同上。下限でも数千万円規模 | 50億円 |
※ 上限額・補助率・要件は公募回次ごとに変わります。金額は規模感の目安としてご覧いただき、実際の申請時には必ず各制度の最新の公募要領をご確認ください。
2026年度の補助金事業の予算規模は、中小企業生産性革命推進事業の3,400億円等を合わせて1兆円を超えています。一方で、各補助金の公募期間は1〜2か月程度と短く、公募要領が出てから計画を作り始めても間に合いません。狙っている補助金がある場合は、公募前に計画の骨格を作っておく必要があると考えています。
入門にあたる2つ
小規模事業者持続化補助金と、デジタル化AI導入補助金の2つが、はじめて補助金に取り組む事業者にとっての入り口になると考えています。
- 持続化補助金 ── 使える費目が広く、小規模事業者であれば業種を問わず検討できます
- デジタル化AI導入補助金 ── ソフトウェアに用途が限られますが、そのぶん計画が書きやすくなっています
一方で、ものづくり補助金や新事業進出補助金は、計画書の分量・審査の厳しさ・事務負担がまったく別物となっています。1本目からここに挑むことはお勧めしていません。
どの制度にも共通する3つのこと
① 賃上げの要件が付く
補助金は国の政策を実現するための制度です。2024年以降はどの制度にも賃上げに関する要件が付き、達成できなければ返還を求められます。ものづくり補助金では、1人当たり年3.5%以上の賃上げと、5年間の報告が求められています。
🔴 制度を選ぶ前に、自社がその賃上げ要件を達成できるかを見極める必要があります。ここを飛ばして申請すると、採択された後に苦しむことになります。
② 精算払い。先に全額を支払う
どの制度も、補助金が入るのは事業がすべて終わってからです。補助率が2/3でも、いったんは10割を自社で支払うことになります。金額が大きい制度ほど、この立替の負担が重くなります。
③ 計画の骨格は同じ
①現状分析 → ②経営目標 → ③アクションプラン。この3点セットは、どの補助金でも変わりません。私は、ベースとなる計画書を1本作っておけば、制度が公示されてから1〜2週間で申請用に作り直すことができると考えています。
持続化補助金では難しいもの
窓口でよくいただくご相談から、代表的なものを挙げます。
| やりたいこと | 持続化での可否 | 検討する制度 |
|---|---|---|
| 車両(トラック・積載車等)の購入 | ❌ 車体は対象外。架装部分のみ | ものづくり補助金等 |
| 建物の新築・取得 | ❌ 不動産取得は対象外 | 新事業進出補助金(建物費) |
| 基幹システムの導入 | 🔺 規模による | デジタル化AI導入補助金 |
| 人手不足の解消(省力化) | 🔺 売上向上と結びつけば可 | 中小企業省力化投資補助金 |
| 後継者への承継にあわせた設備更新 | 🔺 金額次第 | 事業承継補助金 |
※ 持続化補助金は販路開拓(売上を伸ばす取り組み)を支援する制度です。生産性向上そのものが目的であれば、省力化補助金等の他の制度の方が適していると考えています。
次に読む
- はじめての持続化補助金 ── 対象になるか、いくらもらえるか
- 経費の判断 ── 買えるもの・買えないもの
- 創業型の持続化補助金とは?
ご注意(免責事項)
本ページは制度の正確な理解に努めて作成していますが、各制度の要件・上限額・公募状況は変更されます。申請にあたっては必ず最新の公募要領をご確認ください。個別のご相談は、お近くの商工会・商工会議所の窓口をご利用ください。
