「2-1 市場の動向」は、経営計画書でいちばん書きにくい項目であると考えています。「業界は厳しい」「需要は増えている」と書いても、根拠が無ければ審査員には伝わりません。
審査で見られること
審査の観点②「経営方針・目標と今後のプランの適切性」では、対象とする市場や商圏の特性を捉えているかが見られます。減点される申請書は、強み・市場・顧客ニーズを踏まえていないものです。
悪い例は「自社の置かれている状況の記載のみ」です。良い例は、消費動向や競合の出店状況を記載し、新聞記事等に書かれた新たな動きを参照し、数字で証拠を示しているものです。
事務局の記入例はどこが弱いか
記入例は「日本におけるコーヒーの消費量は増加傾向にあると判断できる」と書き、出典を添えています。方向としては正しいのですが、数字が無く、グラフも無く、商圏の情報がほぼありません。私は、グラフで示せば納得性が出るのに、そこを省いている点がもったいないと考えています。
書き方の型
採択された計画書は、市場の動向を次の形で書いています。
①総務省統計局「家計調査」の品目を1つ選び、拡大前・底・直近の3点を年と円で書きます。「2014年の5,587円から2019年の7,327円へ拡大したのち、2020年に5,089円へ急減」のように書きます。
②家計調査に品目が無い業種は、業界統計を使います。二輪車の保有台数、観光庁の宿泊統計、県の直売所実態調査等です。
③商圏の変化を、経済産業省「RESAS」か総務省「jSTAT MAP」で1つ添えます。人口増加地域の有無、高齢化率、死亡数の推移等です。
④最後に「当社としては○○が必要であると考えています」と、市場の動向から導かれる方向を1文で書きます。
実例文(匿名・宿泊業)
市場の動向を確認するため、総務省統計局の調査による「家計調査」にて、宿泊料支出の推移を確認いたしました。インバウンド客の増加により、全国的に宿泊料支出は増加しています。しかし、足元では宿泊料支出は頭打ちとなっており、2025年7〜9月期においては、前年同期比で減少に転じていることが明らかとなりました。
宿泊料支出は、当社の売上構成における「客単価」に相当する支出項目となります。これがマイナスに転じていることで、今後大幅な客単価の向上は困難であると見込んでいます。
実例文(匿名・オートバイ整備業)
市場の動向を測るため、総務省の調査による「バイク国内保有台数」について資料を作成いたしました。全体のバイク保有台数は減少傾向にあるものの、251cc以上のバイクの保有台数は増加しています。特に2020年以降その増加が顕著となっています。当社の得意としている「大型オートバイ」については、ここ10年超を通じて1%以上の市場拡大が継続していることから、今後も安定的な市場であると見込んでいます。
確認する3点
①年と金額が3点以上入っているか。②出典(家計調査・RESAS・業界統計)が明記されているか。③市場の動向から「当社は○○が必要」という1文が導かれているか。


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