「1-2 現在の売上・利益の状況」は、経営計画書の中で最も差がつく項目であると考えています。売上の推移を書いただけの計画書と、同業他社の指標と比較した計画書では、審査員が受ける印象がまったく違います。
審査で見られること
審査の観点①「自社の経営状況分析の妥当性」の中心です。減点される申請書は「決算書の数字に基づく経営状況が把握できていない」「把握のみで分析ができていない」の2つです。
悪い例は、売上のみを書いたもの、商品の売上ランキングを載せただけのものです。良い例は、過去2〜3期の売上・売上総利益・営業利益の推移を記載し、経営指標と比較し、客数×客単価で売上を分解しているものです。
事務局の記入例はどこが弱いか
記入例は、事業別の売上と商品別の売上ランキングを表にしています。数字は入っていますが、同業他社との比較が無いため、その数字が良いのか悪いのかが読み取れません。私は、分析結果と経営課題が連動していない点が、記入例の最大の弱点であると考えています。
書き方の型
採択された計画書は、ほぼ例外なく次の3段で書かれています。
①売上の推移を、年と金額で書きます。「令和5年66,495千円から令和6年78,117千円と、年率10%超の向上」のように、増減率まで示します。
②日本政策金融公庫「小企業の経営指標(業種名)」との比較を1文で書きます。「売上総利益率は同業他社を2%上回っている一方、従業員1人当たり売上高は3,624千円下回っている」のように、差を数字で示します。
③差が生じている理由を1〜2文で書きます。ここが次の「経営課題」につながります。
実例文(匿名・葬祭業)
当社の売上高は、感染症拡大下と比較して増加しております。若干ながら営業利益を計上できる水準まで回復してはいるものの、依然として厳しい経営環境が継続しています。
当社の経営状況を分析するため、日本政策金融公庫の発行している小企業の経営指標より、葬祭業のデータを参照いたしました。当社と指標企業を比較すると、売上総利益率に大きな差異が発生していることが明らかとなりました。当社の売上総利益率は37.7%であるのに対し、指標は67.5%となっており、29.8ポイントの差異が生じています。生花や香典返し、葬儀場の利用料等が高騰しており、充分に価格転嫁できていない状況が継続しています。
その影響は、当社の人件費対売上高比率が低い点にも現れています。当社の人件費対売上高比率は18.0%となっており、同業他社の32.9%を大きく下回っています。収益性の低さを、家族従業員を中心とした安価な労働力でカバーしている状況です。
確認する3点
①売上の推移に年と金額が入っているか。②小企業の経営指標との差が数字で書かれているか。③差の理由が、次の経営課題につながっているか。


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