空港の近郊で、外国人旅行者を主な対象とするゲストハウスを開業した事業者の事例です。代表はホテルの接客と海外ツアーガイドの経験を持ち、調理師免許を有しています。開業から6か月の時点で創業型に申請しました。
指標で見つけた課題
主要な集客手段である宿泊予約サイトでは、平均評価4.8点台・20件超のレビューを獲得していました。
売上高は初月の2万円から4か月目に20万円台へと伸びていましたが、初年度目標である月40万円弱には届いていません。
客単価は5,000円程度で、新規参入のため地域最安値付近での集客となっており、経営課題は「客単価」にあると整理しています。「眠ること」に特化した営業形態では売上が頭打ちになると判断しました。
統計で裏づけた
「家計調査」の宿泊料は、2020年に世帯あたり10,856円と前年の半分以下に落ち込んだのち、2023年には24,325円と10年で最高となっています。
観光庁の統計では、訪日外国人は2024年に3,687万人、延べ宿泊数は1億6,300万泊となり、総宿泊数に占める外国人比率は25.1%に達しました。国は2030年に6,000万人を目標としており、市場は1.5倍程度に拡大すると見込んでいます。
他社事例では稼働率60%超が安定して確保されていることから、3年後の売上高700万円台は達成可能な水準であると判断しています。
買ったもの・なぜそれか
導入したのは「浄化槽の拡張」と「薪ストーブ」です。
古い住宅を改修した施設であり、宿泊者全員に食事を提供できる浄化槽の容量がありませんでした。同じ理由で、代表の配偶者が講師を務めるヨガスタジオの運営もできていませんでした。浄化槽の拡張は、食事とヨガという付加価値の前提になる投資です。
薪ストーブは、宿泊予約サイトで「暖炉」が検索項目になっているほど旅行者に求められている設備であり、冬季の光熱費を2%程度削減する効果も見込んでいます。
目標数値と3年計画
経営目標は「客単価7,000円」です。初年度は稼働率60%・客単価5,000円で見込み、翌年に客単価を7,000円へ引き上げ、年間売上600万円台を達成する計画としています。
申請書ではこう書きました
以下は、実際に提出した様式2からの抜粋です。事業者名・地名・取引先名は伏せ、売上の実額は◯◯としています。比率と公的統計の数値は原文のままです。
開業より6ヶ月ほどが経過し、徐々に売上高は向上傾向にあります。主要な集客手段である宿泊予約サイトにおいて、順調にレビュー投稿いただいており、平均評価4.8点台、20件超のレビュー数となっています。当ホステルの所在する地域ではいまだトップクラスには至っていないものの、一定の評価を得られている状況です。
売上高は、初月2万円から大きく向上しており、開業4ヶ月目には◯◯千円となりました。初年度目標である◯◯千円/月を目指し、宿泊予約サイト等による宣伝広告に力を入れております。現在の客単価は5,000円程度となっております。新規参入事業者ということもあり、地域最安値付近での集客となっています。
様式2 1. 企業概要
宿泊業における顧客ニーズを測るため、総務省の発行している「家計調査」より、宿泊料の推移を確認いたしました。2020年以降の感染症拡大下において、宿泊業は厳しい経営環境となっておりました。世帯当たりの支出額は10,856円と、前年の半分以下にまで激減しました。その後、2022年になり回復傾向となり、2023年には24,325円とここ10年で最高の宿泊料支出となっております。
それだけに、顧客ニーズに対応するだけの「付加価値」を提供することが必要な状況となっています。
様式2 2. 顧客ニーズと市場の動向
当ホステルは、古い住宅を改修して営業していることもあり、宿泊されている方全てに飲食サービスを提供するだけの「浄化槽」を確保できておりません。当ホステル近隣にはあまり飲食店が存在しておらず、食事の提供に苦慮している状況です。
そこで、本事業では従来の浄化槽を拡張し、大人数の食事の提供に対応できる体制を構築します。食事の提供や大人数の集客に対応できる排水設備を備えることで、当ホステルにて提供できるサービス内容を拡張することが可能になると見込んでいます。
様式2 補助事業計画 2. 販路開拓等の取組内容
私は、この3つの抜粋に様式2の要点が凝縮されていると考えています。①現状を数字で示す ②公的統計で市場を裏づける ③設備が「なぜ必要か」を制約から説明する、の3点です。特に③は、浄化槽という一見販路開拓に見えない工事を「食事とヨガを提供できない原因」として書いている点が要になっています。
同じ業種の方へ
私は、創業直後の申請では「決算書が無い」ことを不利と考える方が多いのですが、この事例のように予約サイトの評価点・レビュー件数・月ごとの売上推移が指標の代わりになると考えています。
浄化槽のように一見販路開拓に見えない工事も、「食事とヨガの提供を可能にする」という目的が付けば委託・外注費として説明できます。創業型の要件は「はじめての持続化補助金」にまとめています。


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