【事例】化粧品製造卸|越境ECのため4つの機器を組む

化粧品製造卸売業|越境ECのために、4つの機器を組む

このページは 業種別の活用事例 の一部です。

鉱石を配合したマッサージクリームを、個人事業主を含む小規模なエステ・マッサージサロン向けに卸している法人の事例です。取引先は300社を超え、価格は「取引先がしっかり利益を取れる」水準に設定しています。

目次

指標で見つけた課題

売上総利益率は64.9%であり、「小企業の経営指標」の化粧品製造業平均49.6%を上回っていました。収益性には問題がありません。

一方で、感染症の影響で中高年女性向けの化粧品需要が減少し、国内の売上は拡大前の水準に戻っていませんでした。

経営課題は「国内市場への依存度が高い」点にあると整理し、海外からの引き合いに応える販路の構築が必要であると考えました。

統計で裏づけた

矢野経済研究所の推計では、スキンケア市場は約2兆2,900億円(2021年)であり、感染症の影響で大幅に減少していました。

公益財団法人日本エステティック研究財団の調査では、エステサロン経営の主体は個人事業主が67.1%を占めており、この事業者の顧客層と一致しています。

経済産業省「電子商取引に関する市場調査」では、越境ECを含む海外向けB2C市場の伸長が見込まれていました。各国の許認可に合わせた輸出には3年を要するため、個人輸入の形態で販売できる越境ECを先行させる判断をしています。

買ったもの・なぜそれか

導入したのは①試作開発用の小型電気温水器 ②越境EC対応のサイト構築(クラウド型のEC基盤)と海外向けパンフレット ③化粧品容器用のインクジェットプリンター ④動画撮影・編集用の機材、の4点です。

船便の高温に耐える処方の試作には温度制御が必要であり、50〜100kg用の湯煎釜では対応できませんでした。また、輸出先国別の表示、字幕と自動翻訳による手技の伝達、という課題にそれぞれ機器を対応させています。

目標数値と3年計画

経営目標は、全国に約6,000店ある小規模サロンの10%にあたる「導入600店」であり、申請時点の300店からの倍増を目指しています。

海外市場では国内と同額程度の売上高の獲得を長期目標としています。

申請書ではこう書きました

以下は、実際に提出した様式2からの抜粋です。事業者名・地名・取引先名・商品の固有名は伏せ、売上の実額は概数にしています。比率と公的統計の数値は原文のままです。

価格戦略としては、「取引先がしっかりと利益を取れる」ことをベースに、利益率を設定しています。当社の目的は、「取引先がしっかりと稼げる体制を作る」ことにあるため、エンドユーザーが無理なく購入でき、かつ取引先が利益を得られる価格としています。そのため、当社の売上総利益率は64.9%となっています。日本政策金融公庫発行「小企業の経営指標」での化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品製造業平均が49.6%であるのに対して上回っていることから、十分な収益が得られる水準での価格設定になっていると考えています。

様式2 1. 企業概要

本事業では海外輸出用「マッサージクリーム」の試作開発を実施いたします。化粧品の輸出に際しては、「航空便」および海上コンテナによる「船便」を検討する必要があります。「航空便」については、輸送費が高額となるため、当社製品の輸出において一般顧客に対する送付施策としては適していないと考えています。そこで、当社製品としては、「船便」での対応が必要となるものの、海上コンテナ等での輸送に耐えうる成分とはなっていません。高熱に晒された際、油分と水分が分離する、色が変化する等の影響があることがわかっています。

また、輸出時の「商品表示」についても課題が生じています。現在は生産日の印字のみとしておりますが、「輸出先国」別の表示にも対応する必要があります。国名・輸出先名等を印字することで、輸出時およびクレーム発生時の対応を円滑に実施することが可能になると見込んでいます。

様式2 補助事業計画 2. 販路開拓等の取組内容

私は、この計画の要点は「なぜ4つの機器が必要か」を、すべて障害から説明している点にあると考えています。船便の高温で分離するから試作用の機器が要る、輸出先国別の表示が要るから印字機が要る、という順序です。機器を先に並べて後から理由を付けると、この一本の線は書けません。

同じ業種の方へ

私は、この計画で最も重要なのは「4つの機器が1つの課題に向いているか」という点であると考えています。

機器を並べるだけでは審査員に伝わりません。「越境ECで売る」という1本の線の上に、試作・表示・伝達の3つの障害を置き、それぞれに機器を当てました。

複数の機器を1つの計画にまとめる書き方は「計画書の書き方」にまとめています。

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この記事を書いた人

中小企業診断士・応用情報技術者。金融機関の窓口相談を9年間担当した後、商工会・商工会議所の窓口相談員として延べ500社以上に対応。小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超。千葉県商工会連合会 エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家。

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