【事例】トレーニングジム|高齢者向け改修と看板で会員増

トレーニングジム|人件費比率28.3%から、高齢者向け改修へ

このページは 業種別の活用事例 の一部です。

動的ストレッチマシンを使ったコンディショニングを中心とするトレーニングジムの事例です。代表の父親が脊髄損傷からコンディショニングで回復した経緯が創業のきっかけであり、アスリートを中心に会員を集めてきました。

目次

指標で見つけた課題

感染症拡大前に800万円台あった売上高は、申請時点で500万円前後まで減少していました。トレーニング空間が狭いことと、近隣に24時間営業のジムが開設されたことが要因です。

「小企業の経営指標(トレーニングジム)」との比較では、人件費対売上高比率が28.3%と同業他社を大きく下回り、従業員1人当たり売上高も低い水準でした。

会費は近隣より高めであるため客単価の引き上げは困難であり、経営課題は「客数」にあると整理しています。

統計で裏づけた

「家計調査」の「スポーツクラブ使用料」は、2020年にかけて増加したのち、2021年に4,313円、2022年に4,284円へと減少していました。申請時点では5,000円超の水準に回復すると見込んでいます。

一方、経済産業省「RESAS」で所在市の人口推移を確認したところ、総人口は2005年頃から減少が続き、特に15〜64歳の生産年齢人口の減少が著しいことがわかりました。

主要顧客の年齢層が減っている以上、人口が横ばいの高齢層を取り込む必要があると判断しています。

買ったもの・なぜそれか

導入したのは「外気取り込み式の空調機器」「非接触型のトイレ」「看板」「チラシ」です。

高齢者を誘致するには、窓開け換気で室温が変動しない空調と、感染源になりやすいトイレの改修が前提になると考えました。会員アンケートでも感染症対策の強化が求められていました。

また、国道から一本入った立地で視認性が低く、スマートフォンを使わない高齢層には看板とチラシという従来型の広告が必要であると判断しています。

目標数値と3年計画

経営目標は「会員数100名」です。申請時点の会員30名程度を、まず60名に増やし、回数券の利用者を含めて100名を目指す計画としています。

申請書ではこう書きました

以下は、実際に提出した様式2からの抜粋です。事業者名・地名・取引先名・商品の固有名は伏せ、売上の実額は概数にしています。比率と公的統計の数値は原文のままです。

当事業所の名称は、脊髄を意味する言葉から付けています。かつて、代表の父親が脊髄損傷を患い、「コンディショニング」を通じて回復した経緯を持つことから、店舗名といたしました。代表自身も腰を悪くした経験を持っており、同じような悩みを抱える多くの方のため、「コンディショニング」の技法を広めていきたいと考え、起業するに至りました。

現在の経営状況を確認するため、日本政策金融公庫の発行する「小企業の経営指標(トレーニングジム)」との比較を実施いたしました。同指標によると、当事業所の「人件費対売上高比率」は、28.3%となっており、同業他社の水準を大きく下回っています。(中略)現状、会費としていただいている金額は、近隣と比較して若干高額である(トレーニング指導を実施するため)ことから、これ以上の「客単価」の向上は困難な状況です。今後は「客数」の向上のための施策を検討する必要があると考えています。

様式2 1. 企業概要

現在、当事業所にて利用している空調機器は従来型の「内気循環式」のものとなっています。感染症対策として、適時「窓開け」による換気を実施しなければならない状況です。換気は実施できるものの、トレーニングスペースの気温が変動することにより、お客様のトレーニングに影響を与えております。当事業所としては「外気取り込み式」空調機器を導入することにより、空気を循環させつつ、快適なトレーニングスペースを提供したいと考えています。

当事業所の立地は、国道から一本入った通りとなっているため、お客様からの視認性が低い状況となっています。現在はGoogleビジネスプロフィールおよびホームページ等により一定の集客が実施できているものの、スマートフォンやインターネットを活用する「若年層」向けの施策となっています。これまで接点があまり取れていない「高齢者」を誘致するためには、既存の宣伝広告手法である「看板」や「チラシ配付」に取り組む必要があると考えています。

様式2 補助事業計画 2. 販路開拓等の取組内容

私は、この抜粋の白眉は「これ以上の客単価の向上は困難」と先に言い切っている点であると考えています。打ち手を客数に絞る宣言を早い段階で置いたため、そのあとに続く空調・トイレ・看板がすべて同じ方向を向きました。創業の経緯を1段落で書いている点も、審査員に事業を覚えてもらう工夫です。

同じ業種の方へ

私は、この事例の要点は「客単価は上げられない」と先に結論づけ、施策を客数に絞ったことにあると考えています。

売上を客数と客単価に分解し、どちらに打ち手があるかを決めてから機器を選ぶと、補助事業計画との整合が取れます。

空調機器を対象にする際の理由の付け方は「経費の判断」にまとめています。

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この記事を書いた人

中小企業診断士・応用情報技術者。金融機関の窓口相談を9年間担当した後、商工会・商工会議所の窓口相談員として延べ500社以上に対応。小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超。千葉県商工会連合会 エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家。

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