有機栽培のれんこんを生産し、道の駅や農産物直売所で加工・販売している農業者の事例です。農業そのものは持続化補助金の対象外ですが、加工・販売を手掛ける6次化事業として申請しています。
指標で見つけた課題
売上高は直売所での知名度向上と生産効率の改善により、約780万円から約880万円へと12%増加していました。
一方で、利益は若干の黒字にとどまり、従業員を雇用できる余裕は無い状況でした。夫婦2名の営農では業務負荷が高く、事業を拡大するには商品単価を上げる必要があると整理しています。
直売所は相場によらず自ら価格を決められるため、付加価値の向上と販売時期の工夫で売上を伸ばせると判断しました。
統計で裏づけた
県の「農林水産物直売所実態調査」では、直売所1施設あたりの売上高が令和4年度に1億6,600万円と過去最高になっていました。
「家計調査」では、2024年の「れんこん」の世帯支出は722円であり、2022年を底に回復しています。
また、卸売価格の月別推移を確認したところ、収穫のピークである11〜12月に最も安く、収穫前の6月に最高値を付けており、その差は2.5倍となっていました。春から初夏にかけて流通量が不足していることが、価格差の要因であると見込んでいます。
買ったもの・なぜそれか
導入したのは「農産物低温貯蔵庫」です。
収穫期に集中して販売するのではなく、価格の高い時期まで鮮度を保って販売できる体制を作るためのものです。
また、地元の給食提供業者や飲食店からは通年の安定供給を求められており、貯蔵庫があれば新たな販路に応えることができると見込んでいます。
目標数値と3年計画
経営目標は「従業員を雇用できる水準として売上高1,200万円台」としています。
作付面積の拡大には雇用が必要であり、そのための収益を通年供給で確保する計画です。
申請書ではこう書きました
以下は、実際に提出した様式2からの抜粋です。事業者名・地名・取引先名・商品の固有名は伏せ、売上の実額は概数にしています。比率と公的統計の数値は原文のままです。
当事業所の経営課題は何よりも「商品の付加価値を向上させる」点にあると考えています。現在の運営状況は、夫婦2人での営農となっています。売上・利益共に向上しつつあるものの、業務負荷が高くなっており、今後年齢を重ねて行った場合、いつまで事業を継続できるかわからない状況です。従業員を雇用するなど、事業を拡大していくためには、お客さまに提供する商品の付加価値を向上させることで、単価を上げていくことが必要となっています。
当事業所の販路である、道の駅・直売所等では相場によらず、自ら価格を決定することができます。付加価値の向上や、価格の高い時期に農産物を販売することができれば、充分売上を向上させることができると見込んでいます。
様式2 経営課題
顧客ニーズを確認するため、れんこんの「卸売価格の月別推移」を確認いたしました。れんこんの価格は、収穫がピークとなる11月〜12月に最も低くなり、その後徐々に上がっていき、収穫前の6月に最高値を付けます。11月と春〜初夏の価格差は2.5倍と大きくなっています。
れんこんは、通年のニーズがあるものの、春〜初夏にかけては充分な数量を流通させることができていないことから、価格が高騰しているものと見込まれます。当事業所としては、収穫のピーク時のみの販売ではなく、一年を通じた販売を実現できる体制を整備することにより、れんこんの付加価値を向上させて販売することができると見込んでいます。
様式2 顧客ニーズ
私は、この抜粋の要は「相場によらず、自ら価格を決定することができます」という一文にあると考えています。直売所という販路の性質を先に説明したことで、そのあとに続く「価格の高い時期まで保管する」という打ち手が理屈として成立しました。2.5倍という価格差の数字も、投資回収の説明をそのまま兼ねています。
同じ業種の方へ
私は、農業の6次化で申請する場合、「価格の季節差」は最も説得力のある数字の1つであると考えています。
2.5倍という差があれば、貯蔵庫の投資回収の説明が容易になります。
農業が対象外となる範囲と6次化の扱いは「はじめての持続化補助金」に、家計調査の品目の探し方は「自社分析の進め方」にまとめています。


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