持続化補助金の市場分析|家計調査で「その市場は伸びているか」を無料で確かめる手順

その市場は伸びている?|持続化補助金ガイド

このページは 自社分析の進め方 の一部です。

「この商品は今から売れるのか」。新しい取り組みを計画するとき、いちばん知りたいのがこれです。私は、家計調査の経年変化を見ることが、この問いに対する最も安価で確実な答えであると考えています。

そして経営計画書の「2-2 顧客ニーズ」では、ニーズが増えているのか減っているのかを数字で示すことが求められます。「◯◯というお客様がいます」と書くだけでは評価されません。

家計調査を使えば、1世帯が年間いくらその品目に使っているか、その額が伸びているかが無料で分かります。この記事では、その調べ方を画面つきで解説します。

目次

この記事でわかること

  • 家計調査で品目別の年間支出額にたどり着く手順
  • 伸びている市場・縮んでいる市場の見分け方
  • 調べた数字を計画書にどう書くか
  • 家計調査を使うときの注意点

※ 掲載している画面は令和5年(2023年)年報のものです。家計調査は毎年更新されるため、実際に調べるときは最新年報に読み替えてご覧ください。手順そのものは変わりません。


家計調査とは

総務省統計局が実施している統計です。全国の世帯が何にいくら使ったかを、細かい品目別に集計しています。

「美容院代」「動物病院代」「携帯電話機」といった単位まで分かれているため、自分の業種に近い品目を探せば、その市場が伸びているかどうかが読み取れます。


手順1 家計調査年報のページを開く

総務省統計局のサイトから「家計調査年報」を開き、最新年の年報をクリックします。

家計調査の画面:家計調査年報のページ
出典:総務省統計局「家計調査年報」

手順2 「統計表」から「総世帯」を選ぶ

年報のページで「統計表」に進み、「総世帯」を選びます。

家計調査の画面:統計表から総世帯を選ぶ
出典:総務省統計局「家計調査年報」

手順3 年次を選ぶ

該当年をクリックします。

家計調査の画面:年次を選ぶ
出典:総務省統計局「家計調査年報」

手順4 「品目分類 1世帯当たり年間の品目別支出金額」を開く

表の一覧から、<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額を探して開きます。Excelファイルが開きます。

家計調査の画面:品目分類の支出金額表を開く
出典:総務省統計局「家計調査年報」

これで、品目ごとの年間支出額と、その経年変化が見られる状態になります。


支出の全体像をつかむ

まず全体を眺めてみてください。1世帯あたりの年間支出総額は約300万円です。それが食料・住居・交通通信などにどう配分されているかが分かります。

家計調査の画面:世帯の支出内訳
出典:総務省統計局「家計調査年報」

自分の業種が、この300万円のうちどこを取りに行っているのかを意識すると、計画が書きやすくなります。


伸びている市場・縮んでいる市場を見分ける

ここが本題です。経年変化の列を見て、支出額が伸びている品目を探します。

家計調査の画面:支出が伸びている品目
出典:総務省統計局「家計調査年報」

支出が伸びている品目は、市場が広がっている=参入の余地があると言えます。

家計調査の画面:支出が減っている品目
出典:総務省統計局「家計調査年報」

一方、支出が減っている品目は、現状維持のままでは売上が減っていくことを意味します。だからこそ新しい取り組みが必要である、という論の立て方ができます。

縮んでいる市場にいることは、不利ではありません。 むしろ「だから今回の補助事業が必要なのだ」という説明につながります。


業種別に見るときのコツ

複数の品目を足し合わせる

業種によっては、1つの品目に収まりません。たとえば飲食店なら「一般外食」「食堂・レストラン」「喫茶代」などを合算して市場を捉えます。

家計調査の画面:外食の支出推移
出典:総務省統計局「家計調査年報」

🔴 「総世帯」であることに注意

家計調査の「総世帯」には、その品目に一切支出していない世帯も含まれます。

たとえば「動物病院代」の1世帯あたり年間支出額は、ペットを飼っていない世帯も分母に入った平均値です。実際にペットを飼っている世帯の支出額は、これよりずっと大きくなります。

計画書に書くときは、この点を踏まえて数字を扱ってください。平均値をそのまま「見込み客1人あたりの単価」として使うのは誤りです。


調べた数字を計画書にどう書くか

悪い例

健康志向の高まりにより、当社の商品の需要は増えている。

根拠がありません。

良い例

家計調査によれば、当該品目の1世帯あたり年間支出額は◯年の◯◯円から◯年には◯◯円へと◯%増加しています。市場は拡大傾向にあり、当社が新商品を投入する余地があると判断いたしました。

家計調査の画面:事例_家庭調理用そば
出典:総務省統計局「家計調査年報」

新商品の開発を計画する場合は、その市場が伸びていることを数字で示すのが定石です。

商圏の世帯数と掛け合わせる

さらに一段深めるなら、jSTAT MAPで出した商圏内の世帯数と掛け合わせます。

1世帯あたりの年間支出額 × 商圏内の世帯数 = 推定市場規模

自社の売上がその何%を占めるかまで書ければ、シェアの議論ができます。

jSTAT MAPの使い方は別記事で解説しています。


まとめ

  • 家計調査は無料。総務省統計局のサイトから誰でも見られます
  • 「家計調査年報 → 統計表 → 総世帯 → 年次 → 品目分類」の順でたどります
  • 支出が伸びている品目=参入余地あり/減っている品目=現状維持では売上減
  • 業種によっては複数の品目を合算します
  • 🔴 「総世帯」には支出していない世帯も含まれる点に注意します

数字の裏づけがあるだけで、計画書の印象は大きく変わります。一度調べておけば、次回以降の申請でも使えます。

書き方に迷われる場合は、お近くの商工会・商工会議所の窓口をご利用ください。


参考


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この記事を書いた人

中小企業診断士・応用情報技術者。金融機関の窓口相談を9年間担当した後、商工会・商工会議所の窓口相談員として延べ500社以上に対応。小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超。千葉県商工会連合会 エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家。

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