持続化補助金の採択率は、回によって37.2%から90.9%まで動いています。この差は、申請した計画の質というよりも、その回の申請件数とその回に用意された予算で決まっている部分が大きいと考えています。ここでは、一般型・通常枠の第1回から第19回までの実績を一覧にしました。
1. 一般型・通常枠の採択率
| 回 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 8,044件 | 7,308件 | 90.9% |
| 第2回 | 19,154件 | 12,478件 | 65.1% |
| 第3回 | 13,642件 | 7,040件 | 51.6% |
| 第4回 | 16,126件 | 7,128件 | 44.2% |
| 第5回 | 12,738件 | 6,869件 | 53.9% |
| 第6回 | 9,914件 | 6,846件 | 69.1% |
| 第7回 | 9,339件 | 6,517件 | 69.8% |
| 第8回 | 11,279件 | 7,098件 | 62.9% |
| 第9回 | 11,467件 | 7,344件 | 64.0% |
| 第10回 | 9,844件 | 6,248件 | 63.5% |
| 第11回 | 11,030件 | 6,498件 | 58.9% |
| 第12回 | 13,373件 | 7,438件 | 55.6% |
| 第13回 | 15,308件 | 8,729件 | 57.0% |
| 第14回 | 13,597件 | 8,497件 | 62.5% |
| 第15回 | 13,336件 | 5,580件 | 41.8% |
| 第16回 | 7,371件 | 2,741件 | 37.2% |
| 第17回 | 23,365件 | 11,928件 | 51.0% |
| 第18回 | 17,318件 | 8,330件 | 48.1% |
| 第19回 | 16,576件 | 7,819件 | 47.2% |
2. 採択率が動く理由
第16回は、申請が7,371件と少なかったにもかかわらず採択は2,741件にとどまり、37.2%と最も低くなりました。逆に第17回は申請が23,365件と過去最多でしたが、採択は11,928件で51.0%まで戻っています。
採択率は、申請件数と予算の兼ね合いで決まる数字であり、自分の計画が良いか悪いかとは別の要因で上下します。発表された採択率に一喜一憂しても得るものは少ないと考えています。
3. 創業型は通常枠より低い水準です
| 回 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 3,883件 | 1,473件 | 37.9% |
| 第2回 | 3,220件 | 1,226件 | 38.1% |
| 第3回 | 1,919件 | 791件 | 41.2% |
創業型は補助上限が200万円と大きいぶん、通常枠より採択率が低い水準で推移しています。金額の大きい枠を選べば有利になるわけではありませんので、要件を満たすかどうかで選んでください。
4. この数字をどう使うか
直近3回は47.2%から51.0%で、おおむね2社に1社が採択される水準であり、裏を返せば申請した半分は落ちることになります。
一度で通ることを前提にせず、次の回にも出せる状態で準備しておくことをお勧めしています。様式4の発行や見積書の取得、計画書の中身は、不採択だった場合でも次の回にそのまま使えるものが多いためです。
なお、採択率は公表されている申請件数と採択件数から計算した数字です。枠や特例の内訳までは公表されていませんので、業種別や地域別の傾向を読み取ることはできません。
5. 不採択でも、申請する意味はありますか
結論から言うと、意味はあります。2013年度の申請者を追跡した経済産業研究所(RIETI)の研究では、申請した事業者は、申請しなかった事業者より、申請後に従業員1人あたりの売上(労働生産性)が高まっていました。この傾向は、不採択だった事業者だけで比べても残っています。
研究したのは、橋本由紀氏(経済産業研究所)と高橋孝平氏(早稲田大学)です。制度が始まった2013年度の申請者名簿(約2万7,000者)に民間の企業データを突き合わせ、申請の前後で売上・従業員数・1人あたり売上がどう変わったかを調べています。出典は、この記事の末尾にまとめています。
| 比べた相手 | 結果 |
|---|---|
| 採択された事業者と、採択ラインのすぐ下で落ちた事業者 | 売上・従業員数・1人あたり売上のいずれにも、はっきりした差は見られませんでした |
| 申請した事業者と、申請しなかった事業者 | 申請した事業者の方が、1人あたり売上が高まっていました |
| 不採択だった事業者と、申請しなかった事業者 | ここでも、不採択だった事業者の1人あたり売上が高まっていました |
お金を受け取ったことよりも、申請の過程が効いた、というのが研究者の見立てです。申請には事業計画の作成が必要で、商工会・商工会議所の助言も受けられます。計画を言葉にし、外部の目を通すこと自体が、事業の見直しにつながったと考えられています。ただし、どちらが効いたのかまでは、この研究では分けられていません。
前の節で触れたとおり、様式4の発行や見積書の取得、計画書の中身は、不採択でも次の回にそのまま使えるものが多くあります。落ちた回の準備は無駄にならず、計画を磨く機会になると考えています。
この研究を読むときは、次の点に注意してください。
- 対象は制度が始まった2013年度で、補助の上限は50万円でした。現在の通常枠の上限(基本50万円)と同じ水準ですが、特例や創業型の枠が加わり、申請のしくみも変わっています
- 差は大きくなく、1人あたり売上で数%の範囲です
- 効果は事業者によって違い、サービス業と建設業では創業6〜10年で最も大きく、5年未満で最も小さくなっていました。製造業は逆の傾向でした
- 申請前の年を使った検証では偏りの兆候は見られませんでしたが、申請した事業者がもともと伸びやすかった可能性を完全に消すことはできません
前に採択された方が、もう一度出すときに要ること
一度採択された事業者が、次の回にもう一度申請することはできます。ただし、前回と明確に異なる事業であることを、1段落で説明しておく必要があります。
「前回は店舗の看板を整備し、通りがかりの方への認知を広げました。今回は、ご来店くださった方に提供する商品そのものを増やすための設備を導入します」というように、前回との違いを先に書きます。事業名も前回と変えてください。
これを書かずに出すと、前回の焼き直しに見えてしまいます。審査員は前回の計画書を読んでいるとは限りませんので、こちらから違いを示しておくと考えています(落ちる申請書に共通する4つのこと)。
6. まとめ
- 一般型・通常枠の採択率は、第1回90.9%から第16回37.2%まで下がり、直近3回は47.2〜51.0%です
- 採択率は申請件数とその回の予算で上下します。計画の良し悪しだけで決まる数字ではありません
- 創業型は37.9〜41.2%で、通常枠より低い水準です
- 半分は落ちる前提で、次の回にも出せる形で準備しておくのが安全です
- 不採択でも、申請の過程(計画づくりと外部の助言)に意味があることが、2013年度の研究で示されています

