持続化補助金の災害支援枠とは|被災した日にさかのぼって経費が認められます

持続化補助金の災害支援枠とは|被災した日にさかのぼって経費が認められます

持続化補助金には、災害で被害を受けた事業者のための「災害支援枠」があります。通常枠とは補助上限も対象経費も違い、なにより、交付決定を待たずに動けます。

ただし、いつでも使える枠ではなく、大きな災害が起きるたびに、その災害を名指しした枠が、そのつど立ち上がるものです。

筆者は令和元年の台風で被災した千葉県の事業者の申請を、数多くお手伝いしました。この記事では制度の中身に加えて、公募要領の「審査の観点」と、過去の千葉県の事例で実際に何を書いていたかを、あわせて整理します。

🔴 はじめにお伝えしたいことが2つあります
① 申請をどなたかに頼もうとお考えでしたら、その前に、お近くの商工会・商工会議所の窓口にご相談ください。どの申請でも支援機関の確認書が必要ですので、いずれにしても必ず通る窓口です。商工会地域の方は、千葉県商工会連合会の無料電話相談窓口(043-305-5980)で、専門家に電話で相談できます。
② 災害枠の採択率は9割前後です。成功報酬型・成果報酬型で高額な報酬をお支払いになる必要のある制度ではありません。公募要領にも、中小企業庁の注意喚起が載っています。

目次

1. まず、商工会・商工会議所の窓口にご相談ください

制度の中身に入る前に、相談先の話をさせてください。被災された直後は気持ちに余裕がなく、「申請を代わりにやります」という案内が届くと、頼みたくなるものです。ただ、この補助金には先に使っていただきたい無料の窓口があります。

どの申請でも、商工会・商工会議所を必ず通ります

災害枠の申請には支援機関確認書(様式3)が必要で、これを発行するのは商工会・商工会議所です。どなたに手伝っていただくとしても、商工会・商工会議所とのやり取りは必ず発生します。

各商工会・商工会議所では窓口相談を実施しています。経営指導員から、計画づくりや書類のそろえ方について支援を受けられます。相談は無料ですので、まずここで一度ご相談になってから、足りないところを誰かに頼むという順序をお勧めしています。

ご自身がどちらの地区かは、住所ではなく支援機関確認書を発行してもらう団体で決まります。商工会の管轄地域であれば商工会地区、商工会議所の管轄地域であれば商工会議所地区です。わからない場合は、お近くのどちらかにお尋ねください。

🔴 商工会地域の方は、まず「無料電話相談窓口」をお使いください

千葉県商工会連合会は、事業環境変化対応型支援事業として無料電話相談窓口を開設しています。商工会地域の経営に関するお悩みに、専門家が電話で答えます。出向く時間が要らず、その日のうちに相談できるところが、いちばんの利点です。

窓口事業環境変化対応型支援事業 無料電話相談窓口(千葉県商工会連合会)
電話番号043-305-5980
受付時間9時30分から15時30分(土日祝日を除く)
費用相談無料・秘密厳守
相談の方法電話・LINE。必要に応じてZOOMで顔を見ながらの相談もできます

ご案内のページでは、相談できる内容の例として「補助金を活用して、事業の新たな飛躍を図りたいけど、活用できる補助金やその手続について教えてほしい」が挙げられており、まさに、この記事をお読みの方の状況が想定されています。

商工会は商工会法にもとづいて設立された特別認可法人で、認定経営革新等支援機関でもあります。千葉県内には40の拠点があり、電話で入口の整理をしたあとは、地域の商工会が結果が出るまで伴走してくれます。詳しくは千葉県商工会連合会の無料経営相談のご案内をご覧ください(受付時間等は変わることがありますので、最新の内容をご確認ください)。

窓口の専門相談と、専門家の派遣もあります

電話でおおよその方向が見えたら、次の段階の窓口もあります。各商工会・商工会議所では、経営指導員による一般の相談に加えて、税理士・中小企業診断士・社会保険労務士等の専門相談員による無料相談コーナー(窓口専門相談)を設けています。事前の予約が必要ですので、お近くの窓口にお申し込みください。

商工会地域では、さらに専門家派遣(エキスパートバンク)という県の支援制度も使えます。専門家が事業所へ直接訪問するほか、一部オンライン相談にも対応しており、初回の派遣指導は利用負担が全額助成されます(2回目以降は税込11,000円の受益者負担)。こちらは腰を据えて計画を作る段階に向いています。

被災した事業者向けの特別相談窓口も、県内各商工会に開設されています。商工会議所地域の方は、お近くの商工会議所にお尋ねください。

🔴 災害のあとに使える公的な支援は、思っているより手厚く用意されています。電話相談も、窓口の専門相談も、初回の専門家派遣も、費用はかかりません。まずはこの仕組みを十分に使っていただきたいと考えています。

🔴 成功報酬型・成果報酬型は、この制度の趣旨に合いません

災害枠の採択率は9割前後で推移しています。詳しくは後の章でご覧いただきますが、要件を満たし、書類に不備が無ければ通る水準の制度です。採択そのものを成果として高額な報酬をお支払いになる必要は、この枠についてはありません。

これは筆者の意見だけではなく、令和元年の災害型の公募要領の冒頭にも、こう書かれていました。

政府(中小企業庁)によれば、一部の認定経営革新等支援機関や補助金申請のコンサルティングを行う事業者が、補助金への応募を代行すると称し、作業等にかかる費用等と乖離した成功報酬等の費用を中小企業・小規模事業者等に請求する事例が行政当局に報告されているとのことです。(中略)外部のアドバイスを受けること自体は問題有りませんが、上記主旨に沿わない申請は採択の対象となりませんのでご注意ください。

あわせて押さえておいていただきたい点が3つあります。

  • 成功報酬等と称される費用は、補助対象外です。応募書類の作成代行費用も対象になりません。全額が自己負担になります
  • 申請書には、支援を受けた相手と支払った金額を書く欄があります。令和8年熊本地震の災害支援枠のよくあるご質問では、「着手金、成功報酬その他名目のいかんを問わず、支援に係る支払いがあった場合は、その金額を記入してください」と案内されています
  • この補助金は、事業者ご自身が自社の経営を見つめ直して計画を作るものであると、公募要領に明記されています。丸ごと代行してもらう形は、そもそも制度の主旨から外れます

筆者自身も申請の支援をしている立場ですので、この話は自分に跳ね返ってくることを承知のうえで書いています。そのうえで申し上げると、この枠で費用をかける価値があるのは「採択させること」ではなく、被害をどう整理し、復旧の先に何をするかを一緒に考えることだと考えています。

どなたかに依頼される場合は、作業の内容と費用を書面で確かめてから契約なさってください。判断に迷われたときは、商工会・商工会議所の経営指導員にその内容をお見せになると、相場から外れていないかを確かめられます。

🔴 依頼するなら「実績報告まで見てもらえるか」を確かめてください

もうひとつ、契約の前に確かめていただきたいことがあります。この補助金で明確に手間がかかるのは、採択よりも、そのあとの交付申請と実績報告で、申請書を出して終わりではありません。

段階やること手間
申請様式一式と経営計画書、被害を証する書類をそろえる書く量は多いが、一度で終わる
採択後〜交付決定見積書の提出。対象外の経費があれば訂正・再提出。交付申請は消費税等仕入控除税額を減額して行う金額を作り直すことになる
事業の実施中経費の配分や内容を変えるときは事前に事務局の承認が要る思いつきで変えられない
実績報告実績報告書と、支出を証明する書類一式。中古品・中古車の見積、成果物がわかる資料、車両を買った場合は車両運行日誌いちばん重い
額の確定・入金事業内容の審査と経費の確認を経て額が確定し、精算払い(概算払いは認められません)対象外が見つかると補助金が減る
そのあと帳簿と証拠書類を完了後5年間保存。会計検査院の実地検査を受けることがある—

実績報告の期限は、事業を完了した日から30日を経過する日か、公募回ごとに決まっている期限のいずれか早い日です。災害のあとは復旧と営業の再開で手いっぱいになりますので、ここが後回しになりやすいところでもあります。

「採択されたら成功報酬」という値付けは、いちばん手間のかかる部分に値段が付いていないことになります。採択で支援が終わってしまうと、重い作業だけがご自身の手元に残ります。

🔴 外部の専門家に依頼される場合は、実績報告まで支援してもらえるかどうかを、必ず併せてご確認ください。この点は、商工会・商工会議所にご相談になるときにも同じです。千葉県商工会連合会の案内では、県内40の拠点で「結果が出るまで伴走支援する」とされています。

2. 災害支援枠は、いつでも使える枠ではありません

通常枠や創業型は、年に数回の公募が決まった形で続きますが、災害支援枠はそうではありません。大きな災害のあとに、その災害を対象とする枠が国の予算で立ち上がり、対象の災害で被災した事業者だけが申請できます。

2026年10月9日の時点で動いているのは、次の2つです。

対象の災害状況
令和8年熊本地震1次公募中(申請受付締切:2026年10月16日)
令和6年能登半島地震・令和6年能登豪雨10次公募をもって終了

ご自身が受けた被害について枠が立ち上がっているかどうかを、まず確かめる必要があり、立ち上がっていなければ、この枠では申請できません。

立ち上がるまでの時間は、災害によって違います

被災した直後に情報が出ていなくても、そのあとに出てくることがあります。過去の例では、災害が起きてから募集が始まるまでに、次のような時間がかかりました。

災害災害が起きた日募集の始まりかかった時間
令和元年 台風第15号(千葉県)2019年9月9日2019年10月11日約1か月
令和元年 台風第19号など2019年10月12日ごろ2019年12月17日約2か月
令和2年7月豪雨2020年7月2021年4月9日約9か月
令和3年8月豪雨(佐賀県)2021年8月11日2021年11月8日約3か月
令和6年 能登半島地震2024年1月1日2024年2月1日約1か月
令和8年 熊本地震2026年7月28日2026年9月16日約7週間

早い例は1か月、遅い例は9か月でした。この間に何もしないでいると、あとで困ることになります。次の見出しは、その空白の期間に何をしておくかという話です。

3. 千葉県では今、何が使えますか?

2026年、千葉県は続けて2つの災害を受けました。8月13日からの大雨(令和8年8月千葉豪雨)と、9月の台風第25号です。どちらも災害救助法が適用されています。

災害災害救助法が適用された地域国の支援措置
令和8年8月千葉豪雨(8月13日〜)千葉県 25市町2026年8月14日
令和8年台風第25号(9月)千葉県 49市町村/東京都大島町2026年9月24日

49市町村は、千葉県のほぼ全域にあたります。ご自身の市町村が入っているかは、経済産業省の発表でご確認ください。

千葉県の補助金が公表されています

持続化補助金の災害支援枠とは別に、千葉県が、被災した小規模事業者向けの補助金を公表しています。名前は「被災小規模事業者再建支援事業」です。県のページに書かれているのは、令和8年8月千葉豪雨(8月13日から)で被災した場合です。9月の台風第25号による被害が対象になるかどうかは、書かれていません。窓口でご確認ください。

項目内容
補助の対象者千葉県内に事業所を持つ小規模事業者
補助上限100万円(下限10万円)
補助率2/3以内
対象経費施設修繕費、機械装置費、設備廃棄費。設備廃棄費は、施設の修繕等と合わせて行うものに限ります。車両購入費は対象外です
さかのぼり被災した日以降に発生した経費が対象です
申請の方法原則、電子申請(書面申請も可能とする予定)。商工会・商工会議所の支援を受けることが必要です
受付の予定2026年11月中旬に受付開始。締切は、12月中旬(1回目)と2027年1月上旬(2回目)

申請の前に、次の点を押さえておいてください。

  • 罹災証明書や被災証明書など、被災した事実がわかる証明が必要です
  • 事業の終了から1年後までに、BCP、または事業継続力強化計画を作る必要があります
  • 保険金が支払い済み、または支払われる見込みの経費は、補助の対象から除かれます
  • 内容は、今後変わることがあります。詳しくは、今後公開される申請要領でご確認ください

※ 県のページには書かれていませんが、補助金ですので、経理の証拠書類が必要になると思われます(推測です)。見積書、発注書、請求書、領収書や振込の控えなど、支払いを証明する書類です。保険金が支払われる場合は、その通知もそろえておく必要があるでしょう。修理を先に済ませる場合も、書類は捨てずに残してください。必要な書類は、今後公開される申請要領でご確認ください。

県のチラシには、2つの活用例が載っています。床と壁の張り替えに120万円かかった場合は、その2/3にあたる80万円が補助されます。業務用冷蔵庫に180万円かかった場合は、上限の100万円が補助されます。

持続化補助金の災害支援枠とは、別の制度です。一般に、同じ経費に、国や県の補助金を二重に使うことはできません。この県の補助金と持続化補助金を、合わせて使えるかどうかは、県のページには書かれていません(確認困難)。どちらを使うか迷うときは、お近くの商工会・商工会議所にご相談ください。車両の買い替えは、県の補助金では対象外です。持続化補助金の災害支援枠での扱いは、10. に書きました。

県の問い合わせ先は、商工労働部経済政策課政策室(043-223-2703)です。申請の窓口は、お近くの商工会・商工会議所になります。

今すぐ使えるもの

補助金ではありませんが、すでに動いている支援があります。

  • セーフティネット保証4号。一般保証とは別枠の限度額で、融資額の100%を信用保証協会が保証します。8月の豪雨で適用された25市町分は、2026年9月15日に官報で告示済みです
  • 災害復旧貸付。日本政策金融公庫と商工組合中央金庫が、運転資金・設備資金を融資します
  • 既往債務の返済条件の緩和。返済猶予等の条件変更に実情へ応じて対応するよう、国が金融機関に要請しています
  • 小規模企業共済の災害時貸付。契約者は原則として即日、低利で借りられます
  • 特別相談窓口。商工会・商工会議所・日本政策金融公庫・信用保証協会等に設置されています

まだ出ていないもの

持続化補助金の災害支援枠は、2026年10月9日の時点で、千葉県を対象にしたものが出ていません。動いているのは、令和8年熊本地震と令和6年能登半島地震等の分だけです。

国は、千葉豪雨と台風第25号を、「激甚災害」に指定する見込みです。10月9日には、指定に合わせて使う措置が、追加で発表されました。ただし、その中身は、道路や川、農地、学校などの復旧に関するものです。お店や工場など、中小企業への助成は入っていません。

内閣府の資料には、「今後、被害の状況によって、措置や地域が追加されることがある」と書かれています。熊本地震では、指定のあとに、中小企業向けの措置が追加で発表されました。千葉県でも同じ流れになるかどうかは、まだわかりません。

激甚災害に指定されると、補助金が出ますか

結論から言うと、激甚災害に指定されただけでは、持続化補助金の災害枠は出ません。

激甚災害は、国が「特に被害が大きい」と認めた災害です。指定されると、道路や川、農地などの復旧に、国のお金が多く出ます。これは、おもに市町村や県、農家の方が使うお金です。お店や工場の補助金とは、別の仕組みです。

持続化補助金の災害枠は、国が災害ごとに予算を組んで、別に決める補助金です。どの災害を対象にするかも、そのつど決まります。

これまでの例では、対象の決め方が、次のように違いました。

  • 令和元年の台風第15号(千葉県):災害救助法が適用された地域が対象でした
  • 令和元年の台風第19号など:激甚災害に指定された地域が対象でした
  • 令和6年の能登半島地震:特定非常災害に指定された地域が対象でした
  • 令和8年の熊本地震:同じく、特定非常災害に指定された地域が対象でした

どの災害に枠が出たのか。次の見出しで、過去の例を並べます。

過去の激甚災害では、持続化補助金は出ましたか

結論から言うと、出たこともあれば、出なかったこともあります。筆者が調べた範囲で、整理しました。

出た例

災害激甚災害の指定持続化補助金の災害枠募集の始まり
平成28年4月 熊本地震あり熊本地震対策型(予備費と第2次補正の2本)平成28年度
平成30年7月豪雨あり平成30年7月豪雨対策型平成30年度
平成30年9月 北海道胆振東部地震あり北海道胆振東部地震対策型平成30年度
令和元年 台風第15号(千葉県)あり千葉県災害対策型2019年10月11日
令和元年 台風第19号などあり台風19号、20号及び21号型2019年12月17日
令和2年7月豪雨あり令和2年7月豪雨型2021年4月9日
令和3年8月豪雨(佐賀県)あり(局激)令和3年度 佐賀災害対策型2021年11月8日
令和6年 能登半島地震と能登豪雨あり(本激・局激)災害支援枠2024年2月1日
令和8年 熊本地震あり(本激・局激)災害支援枠2026年9月16日

出なかった例

2021年以降の激甚災害は、内閣府の一覧で21件でした。そのうち、中小企業の借入を支える特例(激甚災害法 第12条)が付いたのは9件です。この9件のうち、持続化補助金の災害枠が出たのは、令和3年8月豪雨(佐賀県)、令和6年の能登半島地震、令和6年9月の能登豪雨、令和8年の熊本地震の4件でした。

出なかったのは、次の5件です。

  • 令和4年9月 台風第14号・第15号
  • 令和5年5月 石川県珠洲市の地震
  • 令和6年6月〜7月 梅雨前線による豪雨
  • 令和7年8月〜9月 豪雨と台風第12号・第15号
  • 令和7年10月 台風第22号・第23号(東京都八丈町・青ヶ島村)

中小企業の特例が付かなかった12件では、筆者が調べた範囲で、持続化補助金の災害枠は1件も出ていません。道路や農地などの復旧だけが対象になった災害です。

(注)年度末にまとめて指定される局激で、あとから追加された市町村は、数えていません。「出ていない」は、筆者が調べた範囲です。

ここから読み取れること

  • 激甚災害に指定されても、持続化補助金の災害枠が出ないほうが多いです
  • 枠が出た災害は、2021年以降では、すべて「中小企業の特例が付いた災害」でした。付かなかった災害では、出ていません
  • ただし、特例が付いても、半分以上は出ませんでした。特例は、枠が出る前触れのひとつですが、それだけで決まるわけではありません

千葉県の場合

今回の千葉県は、10月9日の時点で、中小企業の特例が付いていません。過去の例に当てはめると、枠が出ると言える段階には、まだなっていません。ただし、特例が追加されれば、状況は変わります。

言葉の説明:激甚災害・本激・局激・特定非常災害・災害救助法
・激甚災害:国が「特に被害が大きい」と認める災害です。指定されると、復旧のための国のお金が増えます
・本激(ほんげき):激甚災害のうち、被害の大きさが、全国で決めた基準を超えたものです。道路や川、農地などの復旧が中心です
・局激(きょくげき):激甚災害のうち、被害が大きかった市町村だけを対象にするものです。中小企業の借入を支える特例(保証の枠を広げる措置)は、熊本地震では、この局激として、被害の大きかった市町村に追加されました
・特定非常災害:別の法律にもとづく指定です。運転免許などの手続きの期限をのばすなど、被災した方の権利を守る特別な措置が行われます
・災害救助法:避難所の設置など、被災した方の救助を、市町村や県が行うための法律です

熊本地震では、どう進みましたか

熊本地震では、次の順に進みました。

  • 7月28日:地震が起きました
  • 8月3日:国が、激甚災害に指定する見込みを発表しました
  • 8月7日:激甚災害(本激)と、特定非常災害に指定されました。同じ日に、中小企業の保証の特例を追加する見込みも発表されました
  • 9月9日:持続化補助金の災害支援枠の公募要領が公開されました
  • 9月16日:申請の受付が始まりました

千葉県では、筆者が調べた範囲で、特定非常災害の指定は確認できていません。ここが、熊本や能登と違うところです。

災害枠が出るかどうかは、何を見ればわかりますか

熊本地震では、次の順に情報が出ました。

  • ① 内閣府の「最近の激甚災害の指定状況」に、中小企業に関する措置が追加される
  • ② 特定非常災害に指定される
  • ③ 中小企業庁の「補助金公募情報」に、公募要領が出る
  • ④ 補助金事務局のサイトで、申請の受付が始まる

どれか1つが出たからといって、枠が出ると決まるわけではありません。③が出るまでは、まだ決まっていないものとして動くのが安全だと考えています。

先に修理をしても、よいですか

営業を続けるために、先に直さなければならない場面があります。直すことは、止めないでください。そのうえで、次の2点にご注意ください。

  • 写真、見積書(できれば2社)、請求書、支払の記録を残します
  • 持続化補助金の通常枠は、交付が決まる前に発注した費用が、対象になりません。通常枠に出すつもりで先に直すと、その費用は対象外です

災害枠が出た過去の例では、確認できた範囲で、いずれも、被災した日にさかのぼって、費用が認められました。ただし、千葉県の枠が出るかどうかは、まだ決まっていません。どの補助金に出すかは、枠が出るかどうかを見ながら、商工会・商工会議所の窓口で相談して決めてください。

出るかどうかが決まる前から、書類だけは揃えておくことをお勧めしています。補助金が立ち上がってから罹災証明書を取りに行くのでは、締切に間に合わないことがあるためです。次の見出しが、その準備の話です。

4. 被災したら、まず何をしますか?

補助金より先にやることがあるのは、そのとおりであると考えています。ただ、あとで効いてくる記録だけは、片付けと同時に残せます。被災された方にお願いしているのは、次の5つです。

  • 被害の状態を写真に撮ります。片付ける前に撮ってください。あとから戻せません
  • 市区町村に罹災(被災)証明書を申請します。事業所の分です。名義は原則として事業者名にします
  • 売上が落ちた場合は、セーフティネット保証4号の認定を受けておきます。間接被害の証明になります
  • 修理や買い替えの見積書を取ります。できれば2社から取ってください。理由はあとで説明します
  • 支払は振込にして、領収書と通帳の記録を残します。1取引10万円(税抜)を超える現金払は、そもそも対象外です

この5つのうち、1の写真と4の見積は、そのときにしかできません。片付けが終わってから「被災の状況がわかる写真はありますか」と聞かれて困る、というのが災害の年にいちばん多かった話です。

5. 被災した日にさかのぼって、経費が認められます

通常枠では、交付決定日より前の発注・契約・支出は一切対象になりません。これは持続化補助金でいちばん多い失敗で、当サイトでも繰り返し書いてきましたが、災害支援枠では、この大原則が外れます。

令和8年熊本地震の公募要領には、こう書かれています。

特例として令和8年7月28日の令和8年熊本地震による災害発生以降で、交付決定の前に行われた事業に要する経費についても、適正と認められる場合には補助金の対象となります。

令和元年の千葉県でも同じ扱いで、台風第15号が上陸した2019年9月9日以降に発生した経費が、さかのぼって対象とされています。

条件は「写真や書類等による確認が可能であって、適正と認められるもの」です。そしてさかのぼって申請する場合、そのときに取得した見積書(相見積を含む)の提出が必要になります。見積を取らずに発注してしまうと、あとから相見積を用意できず、その経費だけ対象外になります。急いでいても見積だけは2社から取っていただきたい、とお願いしているのはこのためです。

修理を待つ必要はありません

被災した直後に「補助金が決まるまで修理を止めた方がよいのではないか」とご相談いただくことがあります。ただ、営業を再開できない期間が伸びるほうが事業への打撃は大きくなりますので、それはお勧めしていません。

記録を残しながら先に動くという順序が、現実的であると考えています。さかのぼって認められる特例は、そのためにある制度だと理解しています。

修理だけでは通りません

もうひとつ、押さえておいていただきたい点があります。令和元年の台風19号を対象とした災害型の公募要領には、こう書かれていました。

被災した店舗等の解体工事や土砂撤去作業、修理・修繕等は、事業再建の取組を行う前提となりますので、仮に、計上する補助対象経費が全額、これらの経費である場合であっても、経営計画書には、必ず実際の事業再建の取組を盛り込むことが必要です

「壊れたものを元どおりにする」だけでは、計画書として成立しません。直したうえで、その設備で何をして売上を戻すのかまで書く必要があります。筆者がお手伝いした申請でも、修理の費用と一緒に、販路開拓の取組を組み込んでいました。

6. 通常枠と、どこが違いますか?

項目通常枠(第20回)災害支援枠(令和8年熊本地震・1次)
補助上限50万円(特例の上乗せで最大250万円)直接被害200万円/間接被害100万円
補助率2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)2/3以内(要件をすべて満たせば定額)
交付決定前の支出対象外被災日以降は対象
対象経費の数8費目11費目
修繕費・設備処分費・車両購入費なしあり
審査で見られる点販路開拓の有効性事業再建としての適切さと被害の程度
公募年に数回、継続災害ごとに立ち上がる

一方、相見積が必要になる基準(発注総額1件あたり50万円超・税込)、1取引10万円(税抜)超の現金払が認められないこと、中古品は金額に関わらず2者以上の見積が要ることは、通常枠と変わりません。交付決定までに採択発表から概ね1〜2か月かかる点も同じです。

審査の観点そのものが違います

見落とされやすいのですが、公募要領の「審査の観点」も通常枠と別物です。審査は基礎審査と計画審査の2段になっており、基礎審査を満たさない申請は失格となって、その先の審査が行われません。

通常枠(第20回)災害支援枠(令和8年熊本地震)災害型(令和元年台風19号)
基礎審査4項目4項目4項目
計画審査4項目
①自社の経営状況分析の妥当性
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
③補助事業計画の有効性
④積算の透明・適切性
3項目
①事業再建に向けた取組として適切か
②災害による被害の程度
③その他、自社分析の妥当性や計画の有効性、積算の透明・適切性
1項目
事業再建に向けた取組として適切な取組であるか
政策加点重点政策加点・政策加点から
2種類まで選択できる
規定なし規定なし
審査の方法非公開・書面のみ非公開・書面のみ非公開・書面のみ

通常枠では計画審査が4項目に分かれていますが、災害支援枠では3項目に減り、②に被害の程度が入ります。令和元年の災害型では、計画審査の観点が「事業再建に向けた取組として適切な取組であるか」の1文だけでした。

🔴 災害枠には、政策加点がありません

通常枠には賃金引上げ加点・くるみん加点・事業環境変化加点といった政策加点があり、該当すれば審査で有利になります。一方、令和8年熊本地震の災害支援枠の公募要領には、加点という言葉が1度も出てきません。令和元年の災害型も同じで、政策加点の規定はありませんでした。

災害枠では、加点を集めて点を稼ぐという考え方が使えません。賃上げの宣言や認定の取得で持ち上げる余地が無く、計画の中身だけで評価が決まります。

7. 直接被害と間接被害で、上限が変わります

区分内容補助上限証明する書類
直接被害自社の事業用資産に損壊等の被害を受けた200万円市町村が発行する罹災(被災)証明書等
間接被害災害に起因して売上が減少した100万円セーフティネット保証4号の認定書等

間接被害の基準は、任意の1か月の売上高が前年同期と比べて20%以上減っていることです。対象となる月の範囲は公募要領で指定されますので、ご自身の災害の回でご確認ください。

見落としやすいのが、在庫や棚卸資産の損害は「事業用資産の損壊等」に含まれないという点です。商品が水に浸かった場合でも、それだけでは直接被害になりません。設備や建物が被害を受けていないか、あらためて確認していただく必要があります。

なお、補助率が定額になる要件もありますが、これは5つの条件をすべて満たす場合に限られます。過去10か年度以内の災害でも被災し、そのときの国の支援を使い、その債務を今も抱えている、といった内容です。当てはまるのは二重に被災された事業者ですので、原則は2/3と考えて資金を見ておく方が安全であると考えています。

8. 災害支援枠にしかない経費が3つあります

通常枠の対象経費は8費目ですが、災害支援枠はこれに3費目が加わって11費目になります。事業再建という目的に合わせて、通常枠では認められない支出が対象に入っている形です。

修繕費

被災した店舗・宿泊施設・機械装置等の修理修繕にかかる経費です。判断の分かれ目は、被災前の状態に戻すのか、それとも良くするのかです。被災直前の状態に戻すことが目的なら修繕費、改良や改装が目的なら委託・外注費に計上します。

駐車場経営・貸倉庫経営・コインランドリー事業のように、顧客に貸す事業の設備やスペースの修理修繕は対象外です。また、借りている物件の場合、所有者がご自身であることが明らかな箇所か、資産台帳に計上している箇所だけが対象になります。

設備処分費

事業再建の作業スペースを確保するために、使っていない設備機器を廃棄・処分する費用です。この費目だけで申請することはできず、必ず他の経費と組み合わせます。計上できる額は補助対象経費総額の2分の1が上限で、交付決定のあとから追加したり増額したりすることはできません。

車両購入費

事業に供する車両が被災した場合に限って対象になり、申請の際に「車両購入の理由書」(様式5)を出したうえで、被災したことが確認できる公的書類・廃車証明書・被災車両の写真を添えます。被災した車両の名義が事業者名でない場合は対象外です。

中古車を選ぶ場合、購入金額に関わらず、車種・年式・走行距離等が同等の中古車の相見積が必要です。理由書を出して1社に決める随意契約は、中古車では認められません。

3費目に共通する注意点として、「不動産の取得」に当たるものは対象外です。建物の増築・増床や、コンテナハウス等の小規模な建物の設置がこれに当たります。判定は固定資産税の家屋の認定基準を準用し、外気分断性・土地への定着性・用途性の3つをすべて満たすかどうかで決まります。

9. 実際に使う費目は、2つに寄ります

費目が多いと、どれを使えばよいのか迷います。過去の千葉県の事例を見返すと、実務で使っていた費目は機械装置等費と外注費のほぼ2つでした。令和元年の災害型は14費目に分かれていましたが、使われ方には大きな偏りがありました。

費目使われ方
① 機械装置等費すべての案件で計上
⑭ 外注費すべての案件で計上
⑬ 委託費5分の1程度
② 広報費7分の1程度
⑪ 車両購入費ごく少数
③〜⑩・⑫(旅費・開発費・借料等)使用なし

すべての案件に外注費が入っているのは、被災箇所の修理・修繕を、この費目で計上しているためです。令和元年の災害型には修繕費という費目がありませんでしたので、工事は外注費として組み立てる必要がありました。

一方、令和8年熊本地震の災害支援枠には、前の章のとおり修繕費という費目があります。同じ工事でも、立ち上がった枠によって置き場所が変わりますので、費目の一覧は必ず公募要領でご確認ください。

機械装置等費は、壊れた設備の入れ替えと、新しい取組のための設備の両方に使われていました。広報費が少ないのは、災害枠では復旧が中心になり、チラシやホームページに回す余力が少ないためであると考えています。

10. 水没した車両は、買い替えられますか?

2026年8月の千葉豪雨では、事業用の車両が水没した事業者が数多くおられます。災害支援枠には車両購入費という費目がありますので、条件を満たせば買い替えは対象になります。ただし、ここは要件が細かく、書類の不備で落ちやすいところでもありますので、順に見ていきます。

🔴 対象の範囲は、立ち上がった枠によって変わります

ここは枠ごとに条件が違い、当サイトでも書き方を改めた箇所です。公募要領を突き合わせると、次のように分かれていました。

災害型(令和元年台風19号)災害支援枠(令和8年熊本地震)
被災していない車両の購入被災の有無を問わない事業に供する車両が被災した場合に限る
単なる買換え更新対象外対象外
新車の相見積単価100万円超(税込)単価50万円超(税込)
中古車の相見積金額を問わず必要金額を問わず必要
中古車の見積を出す時期実績報告のとき採択発表後〜交付決定まで
中古車の随意契約(理由書で1社)認められない認められない
被災車両の名義規定なし事業者名でないと対象外
購入する車両の名義事業者名義で登録事業者名義で登録

令和8年熊本地震の災害支援枠では、事業に供する車両が被災した場合に限られます。被災していない車両を新しくするだけの買い替えは、事業再建につながらないものとして対象になりません。一方、令和元年の災害型にはこの限定が無く、被災の有無を問わない書き方でした。

🔴 千葉県でどちらの型が立ち上がるかは、2026年9月の時点ではまだわかりません。車両を計上するかどうかは、立ち上がった枠の公募要領で必ずご確認ください。

対象になるのは、道路運送車両法上の「自動車」と「原動機付自転車」です。ブルドーザーやパワーショベルのような自走式の作業用機械は、車両購入費ではなく機械装置等費で計上します。

過去の千葉県では、被災していない車両も認められました

令和元年の災害型では、被災したのが車両ではないのに車両購入費が認められた例があります。壊れたのは店舗の屋根と、備品を保管していた倉庫でした。

配送車を買った例移動販売車を買った例
被災したもの店舗の屋根。宴会場に雨漏り倉庫の屋根とシャッター
車両の位置づけ宅配を強化するための配送車移動販売そのものの手段
計画の運び修繕費の借入を返すため、粗利の高い販路を広げる商圏の人口が減るため、商圏に縛られない売り方へ

どちらも「車が壊れたから買う」ではなく、「復旧の費用を返すために、売上を増やす手段として買う」という組み立てでした。この順で書くと、車両が事業再建の手段として説明できます。

ただし、これは被災していない車両でも認められた枠での例ですので、そのまま当てはめられるとは限りません。また移動販売や宅配のように、車両そのもので直接売上を立てる取組には、次の見出しのとおり注意点があります。

🔴 買ったあとにも条件があります

車両購入費は、買って終わりではありません。公募要領には、購入したあとの使い方についての条件が並んでいます。ここを知らずに進めると、採択されていても補助金が出ないことがあります。

  • 実際に運行し、計画書に書いた取組をした実績報告が必要です。車両を購入しただけで、運行して取組を行った報告が無い場合、その購入費は対象になりません
  • 車両運行日誌を作成し、実績報告のときに添付します。補助事業の特定の業務にのみ使ったことがわかる記録が要ります
  • 目的外の使用は一切禁止です。計画書に書いた事業以外への転用や、私的・家庭内での利用は認められません。営業車のように特定の業務での使用が判断できない車両は、そもそも対象外です
  • 🔴 移動販売や宅配で直接収益を得ると、収益納付の対象になります。補助金の額が減る場合がありますので、車両で直接売上を立てる計画のときは、事前に事務局へご確認ください
  • ローンで買う場合は、実施期限までに支払が完了している必要があります。一部でも残っていると、その購入費は対象になりません
  • 単価50万円(税抜)以上の車両は処分制限財産です。補助金を受け取ったあとも、通常は取得から5年間、譲渡・担保提供・廃棄等に事務局の承認が要ります

このうち収益納付は、上の2つの例のような「車両で直接売上を立てる」計画のときに関わってきます。移動販売車や配送車を計画に入れる場合は、この扱いを申請の前に確かめておいてください。

🔴 名義が事業者でないと、対象外になります

見落としやすいのがここで、被災した車両の名義が補助事業者名でない場合は対象外になります。個人名義のまま事業に使っていた車が水没した、という形だと使えません。購入する新しい車両も、補助事業者の名義で登録する必要があります。

中古車は、金額に関わらず相見積が要ります

新車と中古車で扱いがはっきり分かれますので、下の表でご確認ください。

区分相見積随意契約(理由書で1社に決める)
新車単価50万円超(税込)のときだけ必要可
中古車金額に関わらず必ず2者以上認められない

中古車の見積は、車種・年式・走行距離等の仕様が同等のもので取ります。見積も購入も中古車販売店等で行い、開業していない個人からの購入は対象外です。水没被害が広い範囲で起きると中古車の在庫が動きますので、同等の条件で2者そろえられるかは、早めに確かめておく必要があります。

提出するものが3点あります

車両購入費を計上する場合、ほかの経費にはない追加の提出物があります。

  • 車両購入の理由書(様式5)。補助事業の遂行に車両の購入が必要不可欠な理由、その車両の具体的な使用内容、購入予定のメーカー名と車種を書きます
  • 購入予定の車両の見積書またはカタログ。理由書に添えます
  • 被災したことが確認できる公的書類と、廃車証明書。水没して廃車にした場合は、この廃車証明書が要ります
  • 被災車両の写真。撤去や廃車の前に撮っておく必要があります

🔴 このうち被災車両の写真は、あとから用意することができません。水没した車を先にレッカーで運び出してしまうと、被害の状態を示すものが残らなくなります。撤去の前に、車体全体と、浸水の高さがわかる位置を撮っておいてください。

対象にならない費用があります

車両本体の価格以外は対象になるものが絞り込まれており、迷いやすいところですので、代表的なものを並べます。

対象になるもの対象にならないもの
新車販売時の標準装備カーナビ、リアカメラ等、無くても事業に支障のないオプション
車内展示・運搬用のコンテナやボックス自賠責保険、自動車税
常設されている保冷庫車検等の検査・登録手数料、諸手続費用
スピーカータイヤ交換代、オイル・ガソリン代・電気代

なお、被災した車両を直して使う場合は車両購入費ではなく修繕費、車両の内装や改造の工事は委託・外注費になります。同じ1台でも、何をするかで費目の置き場所が変わります。

申請の時点で書いておかないと、あとから足せません

車両購入費と設備処分費には、ほかの費目に無い共通の制約があります。申請の時点で様式へ記載し、支出経費の明細に計上していることが前提となっており、交付決定後の変更承認手続きで、あとから補助対象経費に加えることはできません。

採択されたあとに車種を変えたくなった場合も、必ず事前に事務局へ相談してください。相談なく見積書と違う車を買うと、その経費は対象外になります。

水没した車両がある場合は、申請の一番はじめに車両の扱いを決めておくことをお勧めしています。あとから足せない費目ですので、ここを後回しにすると取り返しがつきません。

11. 採択率は9割前後で推移しています

審査の観点が少ないことは、採択率にも表れています。令和6年能登半島地震等の災害支援枠は第1回から9次までの受付が終わっており、中小企業庁が各回の申請件数と採択件数を公表しています。

災害支援枠の申請件数と採択率(令和6年能登半島地震等) 棒が申請件数、折れ線が採択率です。通算4,308件の申請に対し3,813件が採択されました ※採択率の軸は75%から表示しています 申請件数(左軸・件) 採択率(右軸) 75% 80% 85% 90% 95% 100% 0 200 400 600 800 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 6次 7次 8次 9次 96.6% 第1回〜第5回は令和6年、6次〜9次は令和7年〜8年の締切分です。10次公募をもって受付は終了しました 出典:中小企業庁の各回採択発表(6次は中小企業基盤整備機構の公表)

通算すると申請4,308件に対して採択3,813件で、採択率は88.5%でした。いちばん低かったのは第2回の84.4%、いちばん高かったのは9次の96.6%です。

公募回申請件数採択件数採択率
第1回28525689.8%
第2回69758884.4%
第3回77066886.8%
第4回36533291.0%
第5回49742685.7%
6次73066691.2%
7次42036987.9%
8次34031191.5%
9次20419796.6%
通算4,3083,81388.5%

令和元年の台風19号を対象とした災害型では、商工会地区の1次公募が申請1,134件に対して採択1,113件で、採択率98.1%でした。同じ時期の通常枠が47.2%ですから、性質がまったく違います。

数字が高いことは、書かなくてよいことを意味しません

9割前後という数字は、落とすための審査ではないことを示しています。ただしこれは基礎審査を通った申請書の中での話で、基礎審査で失格になった申請は、計画の中身を見てもらえません。

また令和8年熊本地震の災害支援枠は、1次公募の採択発表が2026年11月頃の予定で、採択率はまだ出ていませんので、過去の数字がそのまま続く保証はありません。

12. 基礎審査の4項目は、落とされる側の話です

基礎審査は、満たさなければ失格となる入口の要件で、公募要領には次の4項目が挙げられています。文言は災害型と災害支援枠でほとんど同じで、実務で引っかかるところも共通していました。

基礎審査の項目実務で引っかかるところ
① 必要な情報がすべて確認できること様式の空欄。電子データを入れた媒体の同封漏れ。決算書類の期が足りない
② 補助対象者・補助対象事業の要件に合致すること従業員数の数え方。被害を証する書類の名義が事業者名でない
③ 補助事業を遂行するために必要な能力を有すること実施スケジュールが実施期限に収まっていない。自己負担分の資金の裏付けが書かれていない
④ 小規模事業者が主体的に活動する取組であること外注に丸投げした形に読める計画。自社が何をするのかが書かれていない

①の電子データは、郵送で申請する場合の話で、災害型の公募要領には「電子媒体の送付がない場合は、採択審査ができません」とはっきり書かれていました。中身が良くても審査の対象にならないため、送付前の確認が必要です。

④は見落としやすい項目で、書き方ひとつで評価が変わります。被災の復旧は工事業者に頼むことになりますので、書き方によっては全部を外部に任せる計画に見えてしまいます。復旧のあとに自社が何をするのかを、自社の言葉で書いてください。

13. 経営計画書は、4つの項目でできています

災害枠の経営計画書は、通常枠より項目が少なく、構成もはっきりしています。手元にある令和元年の災害型(商工会議所地区・令和2年4月6日版)の様式2は、次の4項目と、経費と資金の欄でできていました。

項目様式に書かれている指示実際の分量(中央値)
1. 事業概要自社の概要や市場動向、経営方針等を記載ください約1,300字
2. 被災の状況被災の状況、自社を取り巻く環境を記載ください約420字
3. 今回の申請計画で取り組む内容【事業名:30文字以内で記載】
【計画内容】上記1.2.を踏まえて、事業再建の取組を記載ください
約570字
4. 経営上にもたらす効果事業再建に向けた取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果約390字
<支出経費の明細等>経費区分/内容・必要理由/経費内訳(単価×個数)/補助対象経費—
<補助対象経費の調達一覧>
<補助金相当額の手当方法>
自己資金・補助金・借入金の内訳と、精算までの資金の調達方法—

分量の中央値は、過去の千葉県の事例を実測したものです。4項目を足すとおおむね2,700字で、自分で立てた小見出しや図表を入れた全体では6,000字前後になっていました。

🔴 注目していただきたいのは、項目3の指示にある「上記1.2.を踏まえて」という一文です。様式そのものが、事業概要と被災の状況から話をつなげることを求めています。次の見出しで見る5段の構成は、この指示に素直に従った形です。

通常枠にある「顧客ニーズと市場の動向」「自社の強み」は、独立した欄になっていません。欄が無いことと、書かなくてよいことは別です。落とすと、計画審査の③(自社分析の妥当性や計画の有効性、積算の透明・適切性)に答えないままになります。

⚠️ 様式は公募回と地区で細部が違いますので、ここからの説明は手元の版にもとづくものです。実際に申請される際は、立ち上がった枠の様式でご確認ください。

🔴 過去の千葉県の事例は、すべて「復旧+販路開拓」の形でした

過去の千葉県の事例を並べて読むと、どれも同じ順番で話が進んでいました。被災の説明から始まり、最後は売上の計画で終わる5段の構成です。

段書いていること答えている審査の観点
① 被災の状況台風で何が、どこまで壊れたか。修繕にいくらかかったか被害の程度
② 資金の説明修繕費は借入でまかなった。返済のためには収益の向上が必要である事業再建の必要性
③ 外部環境商圏の人口は減っている。このままでは売上の増加は難しい自社分析の妥当性
④ 取り組む内容被災箇所の復旧に加えて、新しい販路や新しい商品に取り組む取組の適切性
⑤ 効果売上計画(現状・1年後・2年後・3年後)計画の有効性

この流れの効きどころは、②から④のつながりにあります。「壊れたから直したい」ではなく「直した費用を返すために売上を増やす」という順で書くと、復旧と販路開拓が1本の話になります。

「直すだけ」で終わっている申請書は、ひとつもありませんでした。これは偶然ではなく、前の章で引用したとおり、公募要領が修理修繕だけでは足りないと求めているためです。

修繕が終わっていても、この型に載せられます

過去の千葉県の事例では、3分の1が申請の時点で修繕を終えていました。災害枠は被災した日にさかのぼって経費が認められますので、先に直してしまっていても申請できます。

このとき使っていたのは、すでに支払った修繕費を、これから取り組む内容の出発点として置くつなぎ方でした。

店舗の被害が大きく、営業を続けるために既に修繕を実施しました。その費用は借入でまかなっており、返済のためには収益の向上が必要です。固定費の削減は既に進めており、これ以上は困難です。そこで売上高の増加と粗利益率の向上を、同時に実現する取組を行います。

これは実際の文章ではなく、共通していた運びを1つにまとめたものですので、言い回しではなく順番だけをご覧ください。

14. 経営計画書①|事業概要には、何を書きますか?

4つの項目のなかで、いちばん分量が要る欄です。過去の千葉県の事例では中央値で約1,300字あり、4項目の合計の半分近くをここが占めていました。

実際に書かれていた要素を、多い順に並べます。割合は過去の千葉県の事例を実測したものです。

書いていた要素割合書き方
市場動向・競合の状況すべて商圏の需要がどちらへ向かっているかを、数字か一次情報で示します
経営方針すべて被災前から何を目指していたか。ここが項目3の伏線になります
客層・顧客構成約7割誰が、どのくらいの頻度で、何を買っているか
創業からの経緯6割何年続けてきたか。地域での位置づけ
立地と商圏6割国道沿い、駅から何分等、来店の条件
商圏人口の動向5割減っていることを数字で。「このままでは増えない」につながります
自社の強み5割弱設備・技術・常連等、復旧させる価値の根拠
従業員体制5割弱誰が実行するか。基礎審査④の裏づけになります
売上・粗利等の数字3割弱🔴 手薄になりやすいところ
弱み・課題2割強🔴 同じく手薄

🔴 手薄になりやすいのは「自社の数字」と「弱み」です

上の表のとおり、売上や粗利といった自社の数字を書いていたのは3割弱、弱みや課題に触れていたのは2割強でした。計画審査の③は自社分析の妥当性を見る項目ですので、ここは伸ばす余地が大きいと考えています。

数字は、決算書の数値を細かく並べる必要はありません。年商の規模、粗利率、客単価、繁忙期と閑散期の差といった、計画の前提になるものだけで十分です。

弱みも同じで、「人手が足りない」「客層が高齢化している」「雨の日の来店が落ちる」といった、あとの取組が必要になる理由を1つか2つ書けば形になります。弱みを書くことは、審査で不利になりません。むしろ、それを埋める取組として項目3を読んでもらえるようになります。

事業概要は、被災の状況と計画内容を支える土台です。ここで自社の数字と弱みを出しておくと、項目3で「だからこの取組をする」と書けるようになります。

15. 経営計画書②|被災の状況は、写真と数字で書きます

災害支援枠の計画審査では、②に災害による被害の程度が置かれています。被害の大きさそのものが審査項目である以上、小さく書いて得をする場面はありません。過去の千葉県の事例が被災の状況として書いていたのは、次の4点でした。

  • 何が壊れたか。建物・設備・什器を分けて、名称で書きます
  • どこまで壊れたか。使えるのか、使えないのか、部分的に動くのかまで書きます
  • いくらかかったか。修繕の費用と、その資金をどうまかなったかを書きます
  • 営業への影響。何日休んだか、売上が前年からどれだけ落ちたかを数字で書きます

ここは意見ではなく事実を書く欄ですので、何が、どこまで、どう壊れたのかを具体的に書き、写真を添えます。売上が落ちている場合は、前年同期と比べてどれだけ減ったのかを数字で入れてください。

水没した車両であれば、浸水の高さ、動かなくなった状態、その車を何に使っていたか、その車が使えないことで何ができなくなっているかまで書きます。「台風で被災しました」だけでは、被害の程度が審査で評価できません。

令和元年に多かったのは、暴風による被害でした

過去の千葉県の事例で挙がっていた被害を多い順に並べると、次のようになります。割合はおおよその目安で、ひとつの案件が複数の被害を受けていることが多いため、合計は100%を超えます。

被害おおよその割合
設備・機器の損傷3分の2
屋根・瓦の破損6割
看板の破損3分の1
停電3割弱
雨漏り3割弱
外壁・建物4分の1
シャッター2割
窓・ガラス1割強
浸水・冠水1割強

停電が上位に入るのは、令和元年の千葉県の特徴です。長期の停電で冷蔵・冷凍の在庫を失った事業者が多く、その損失を被災の状況に書き添えていました。

🔴 令和元年は暴風、2026年は水害です。書く語彙が変わります

ここが、過去の事例をそのまま横に置けない理由です。令和元年の千葉県は屋根・看板・シャッターが中心で、浸水は少数でした。2026年8月の豪雨は水害ですので、書く内容が入れ替わります。

令和元年(暴風)で書いていたこと水害で書くことになること
屋根瓦の飛散、雨漏りの範囲浸水の深さ(床上か床下か、床から何センチか)
看板・シャッターの破損厨房機器・電装品の水没と、その後の作動不良
長期停電による在庫の廃棄汚泥の流入と、その除去に要した日数
飛来物による窓ガラスの破損車両の水没と、廃車にしたかどうか

浸水の深さは、り災証明書の判定にも関わる数字です。床上か床下かで調査の扱いが変わりますので、写真を撮るときに床からの高さがわかるものを一緒に写しておいてください。

16. 経営計画書③|事業名と計画内容、実施スケジュール

事業名は、30文字で2つのことを言います

事業名には30文字以内という制約がありますが、過去の千葉県の事例はこの短い文字数の中に復旧と前向きな取組の両方を入れていました。

型組み立て
復旧を前に出す「〇〇の修繕による△△向上事業」
被災箇所をまとめて言う「り災箇所の補修および△△の取組」
設備を前に出す「〇〇導入による△△の拡販事業」

平成30年度の千葉県災害対策型では、「り災箇所の補修および〜」という形で事業名がそろっていました。前半で復旧、後半で新しい取組を言う組み立てです。

避けたいのは、どちらか一方だけで終わっている事業名です。「り災箇所の修繕」だけでは事業再建の取組が見えず、新商品の名前だけでは災害枠で申請する理由が見えません。

計画内容は「復旧のあとに何をするか」を書きます

様式の指示は「上記1.2.を踏まえて、事業再建の取組を記載ください」だけです。分量は中央値で約570字と事業概要の半分以下ですので、短いぶん密度が要ります。

公募要領には、対象になり得る取組の例が挙げられています。何を書くか迷ったときの当たりを付けるのに使えます。

  • 新商品等を陳列するための陳列棚や什器等の備品の購入
  • チラシ、冊子、パンフレット、ポスター等の制作
  • 新規ネット販売・予約システム等の導入
  • 事業再建の取組に必要となる機械等の導入
  • 販売スペース増床のための、死蔵の設備機器の処分
  • 事業再建の取組のための車両の購入
  • 新商品開発等に伴う成分分析等の検査・分析の依頼
  • 国内および海外での商品PRイベントの実施
  • 専門家からの新商品開発に向けた指導、助言
  • 店舗改装(不動産の購入・取得に当たるものは不可)

実際の書き方で多かったのは、次の4点です。

書き方割合効きどころ
客数・客単価・件数等の数値目標を入れる7割「増えます」で終わらせない
取組を①②③と番号で分ける6割経費の明細と突き合わせやすくなる
広報・告知の手段まで書く5割弱チラシ、ホームページ、看板等
買う設備の仕様を書く2割弱経費の明細と一致させる

🔴 忘れやすいのが、取組と経費を一対一で対応させることです。計画内容に書いていない設備が経費の明細に出てくると、積算の透明・適切性のところで引っかかります。取組に番号を振っておくと、この対応が崩れません。

なお公募要領は、補助事業の完了後おおむね1年以内に売上につながることが見込まれる事業活動であることを求めています。数年先に効いてくる取組だけでは、要件を満たしません。

実施スケジュールは、欄が無くても書きます

手元の様式2には、実施スケジュールの欄がありません。それでも過去の千葉県の事例では、6割が自分で見出しを立てて書いていました。

書き方はそろっていて、書いていたものはすべて月単位で、取組ごとに行を分けていました。分量は中央値で約105字と短く、表のような形です。完了の時期まで書いていたのは4割弱でした。

短い欄ですが、入れておく価値はあります。基礎審査の③は「補助事業を遂行するために必要な能力を有すること」ですので、実施期限までに終わる段取りが見えることは、その裏づけになります。

17. 経営計画書④|効果は、売上計画で示します

最後の項目は「事業再建に向けた取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果」で、分量は中央値で約390字と、4つの項目のなかでいちばん短いところでした。

書いていたこと割合
売上の数字約9割
現状・1年後・2年後・3年後の4時点で並べる5割
利益や粗利まで書く4割
地域への波及1割強
雇用への言及1割弱
借入の返済に触れる1割弱

売上の数字はほとんどが入れていましたが、4つの時点で並べていたのは半分でした。時点を並べると、復旧で戻る分と、新しい取組で増える分を分けて示せます。

  • 復旧による回復分と、新しい取組による増加分を分けて書きます
  • 増加の根拠は、席数・稼働率・配達可能件数等、自社の数字で説明します
  • 借入の返済がある場合は、返済額を上回る利益が出る計画にします

🔴 利益まで書いていたのは4割にとどまりました。売上が増えても、粗利の薄い商品ばかりでは返済は進みません。粗利率の改善まで書けると、項目1の経営方針から項目4までが1本につながります。

18. 支出経費の明細と、資金の調達欄

様式2には、4つの項目のあとに経費と資金の欄があります。いずれも文章ではなく表ですが、審査の観点の積算の透明・適切性に直接あたる場所です。

支出経費の明細は、取組と一対一にします

書く列は、経費区分、内容・必要理由、経費内訳(単価×個数・回数等)、補助対象経費の額で、あわせて税抜か税込かの区分も選びます。

「内容・必要理由」は、計画内容に書いた取組の言葉をそのまま使ってください。別の言い方に置き換えると、同じものを指しているのかが読み手に分かりません。取組に①②③と番号を振っておくと、ここで対応を示せます。

🔴 見落としやすいのが、資金の調達欄です

様式2には、補助対象経費をどうまかなうかの一覧があります。自己資金・補助金額・金融機関からの借入金・その他に分けて、合計額を出します。

ここには機械的な決まりが2つあり、どちらもずれていると交付決定の段階で訂正を求められます。

  • 補助金額は、支出経費の明細の「補助金交付申請額」と一致させます
  • 合計額は、「補助対象経費合計」と一致させます

そしてもう1つ、「補助金相当額の手当方法」という欄があり、様式にはこう書かれています。

補助事業が終了してからの精算となりますので、その間の資金の調達方法について記載ください。

補助金が入るまでのつなぎ資金をどうするかを書く欄です。こちらも自己資金・金融機関からの借入金・その他に分けて書きます。

次の章のとおり、補助金は後から一部が戻る制度です。工事も設備も、先にご自身で払い切る必要があります。この欄が埋まらないということは、資金計画が立っていないということです。申請の前に、金融機関か商工会・商工会議所にご相談ください。

19. 戻るのは、復旧費の一部です

過去の千葉県の事例を集計すると、被害額に対して補助金がとても小さいことがはっきり出ました。期待と実態がずれやすいところですので、先に数字をご覧ください。

項目過去の千葉県の事例
補助金の交付申請額中央値 約94万円(最大100万円・最小約30万円)
補助対象経費中央値 約147万円(最大 約880万円)
補助上限の100万円ちょうどで申請3分の1
自己負担が対象経費の半分を超えた案件4分の1

もっとも大きな案件では、対象経費が約880万円に対して補助金は上限の100万円で、差額の約780万円は自己負担でした。

この制度は、復旧費をまかなうものではなく、復旧費の一部を後から取り戻すものです。資金繰りは融資や保証で組み立てていただき、補助金はその一部が後で戻るものとして計画に置いていただくのが実際に近いと考えています。

なお令和元年の災害型では、千葉県の上限は100万円でした。上限は災害と地域によって変わりますので、立ち上がった枠の公募要領でご確認ください。

20. 書類のそろえ方と、申請の仕方

必要な書類

書類誰が用意するか注意
応募対象者確認シート申請者全員必須
申請書(様式1)申請者全員必須
経営計画書(様式2)申請者全員必須
支援機関確認書(様式3)商工会・商工会議所発行を依頼する。締切が別にある
補助金交付申請書(様式4)申請者採択後に正式受理される
被害がわかる公的書類市区町村等直接被害は罹災証明書、間接被害はセーフティネット保証4号の認定書等
決算書類申請者法人は直近1期の貸借対照表と損益計算書、個人は直近の確定申告書
車両購入の理由書(様式5)申請者車両購入費を計上する場合のみ

被害を証する書類は、原則として名義が事業者名である必要があります。自宅兼店舗等で個人名義の罹災証明書しか無い場合は、申請の窓口でご相談ください。

🔴 支援機関確認書は、締切が1週間早いです

もうひとつ見落としやすいのが、この確認書の締切です。たとえば令和8年熊本地震の1次公募では、申請の受付締切が10月16日であるのに対し、支援機関確認書の発行受付締切は10月9日で、1週間前に別の締切が置かれていました。

しかもこの確認書は、商工会・商工会議所に出してもらうものです。窓口が混み合う時期には、依頼してすぐ出るとは限りません。締切から逆算するときの起点は、申請の締切ではなく確認書の締切だと考えてください。

電子申請にはGビズIDプライムが要ります

申請は郵送と電子申請(Jグランツ)のどちらかを選べます。電子申請を使う場合はGビズIDプライムのアカウントが必要で、取得には数週間かかります。使う可能性が少しでもあるのなら、いまの時点で申し込んでおいてください。

郵送の場合は、様式の電子データを入れたCD-RやUSBメモリの同封が必要です。この電子媒体が入っていないと審査ができませんので、送付前に必ず確認してください。

なお、同一の事業者から申請できるのは1件だけで、複数の屋号をお持ちの個人事業主であっても1件です。

21. 書き始める前に、3つ決めておいてください

過去の千葉県の事例を読み返して感じたのは、順番を間違えると書き直しになるところが決まっているということです。計画書に手を付ける前に、次の3点を決めておいてください。

決めること理由
① 車両を計上するかどうかあとから足せない費目です。名義と廃車証明書の確認も先に必要です
② 修繕をどの費目で計上するか枠によって修繕費があるか無いかが変わります
③ 復旧の先に何をするか計画審査の中心はここです。決まらないと事業名も書けません

とくに③は、被災の直後にいちばん決めにくいところです。片付けに追われている時期に「次に何をするか」を考える余裕はありません。

それでも、ここが決まらないかぎり申請書は書けません。被災前から考えていたこと、やりたかったができていなかったことを思い出していただくと、出てくることが多いように感じています。

この3点は、おひとりで決めきれるものではありません。商工会・商工会議所の窓口相談では、経営指導員がここから一緒に考えてくれます。書き始めてから迷うより、着手の前にご相談になるほうが早く進みます。

22. 千葉県では、令和元年の台風で実際に出ました

災害支援枠と同じ考え方の枠は、千葉県でも実際に立ち上がっています。令和元年台風第15号のときの「千葉県災害対策型」です。

項目内容
正式名称平成30年度第2次補正 小規模事業者持続化補助金<追加公募(千葉県災害対策型)>
対象地域台風第15号の影響による停電に伴い災害救助法の適用を受けた県内25市15町1村
補助上限鋸南町の事業者100万円/それ以外の地域の事業者50万円
補助率2/3以内
さかのぼりの起点2019年9月9日
申請受付2019年10月11日開始

対象地域の線引きが災害救助法の適用だった点が、今の災害支援枠と違います。令和8年熊本地震は特定非常災害の指定が土台になっています。どの指定を使うかは災害ごとに決まりますので、「災害救助法が適用されたら必ず補助金が出る」とは言えません。

その後、令和元年台風第19号等を対象とした「持続化補助金台風19号、20号及び21号型」でも千葉県が対象になりました。ただしこちらは直接被害を受けた事業者に限られ、売上減少だけでは申請できない県の扱いでした。

補助上限は、宮城県・福島県・栃木県・長野県が200万円、千葉県を含むそれ以外の10都県は100万円でした。補助率は3分の2です。

🔴 前の章のとおり、採択率は高い水準でした。商工会地区の1次公募では、申請1,134件に対して採択1,113件、採択率98.1%です。審査で落とす制度ではなく、要件を満たせば通す制度であったと読めます。

発動の根拠は、災害ごとに違います

制度対象の災害発動の根拠
千葉県災害対策型令和元年台風第15号災害救助法の適用
台風19号、20号及び21号型令和元年台風第19号等激甚災害の指定(令和元年政令第142号)
一般型 災害支援枠令和6年能登半島地震/令和8年熊本地震特定非常災害の指定(熊本は令和8年政令第260号)

3つとも違います。ですので、「災害救助法が適用されたから必ず出る」とも、「激甚災害に指定されたから必ず出る」とも言えません。公募要領は、対象の災害を、政令の番号まで書いて決めています。どの指定を使うかは、災害ごとに国が決めます。

激甚災害の指定は、補助金が出る前触れのひとつです。ただし、それだけでは足りず、別に予算の手当てが要ります。

当時、筆者は数多くの申請をお手伝いしましたが、いちばん多かったのは「どこまでが被害なのか、自分で判断できない」というご相談です。これは書類で決まる話ですので、罹災証明書と写真がそろっていれば、迷う場面は大きく減ります。逆に、片付けを済ませてから相談に来られた方には、お渡しできる答えが少なくなりました。

23. 枠が立ち上がっていないときは、どうしますか?

ご自身の災害について枠が無い場合でも、打つ手はあります。中小企業庁は、能登の災害支援枠が10次で終了したあとの受け皿として、次の3つを示しています。

  • なりわい再建支援補助金。建物の修繕や、破損した設備の買い替えに使えます
  • 持続化補助金の通常枠による優先採択。被災した事業者を政策的に加点する仕組みです
  • 災害マル経。無担保・無保証の融資で、通常のマル経融資とは別枠で用意されます

千葉県では、これらに加えて、県が独自に出す補助金が公表されています(3. をご覧ください)。

このうち通常枠の加点は、実際に第20回の公募要領に入っています。罹災証明書またはセーフティネット保証4号の認定書の写しを出すことで加点を受けられる形です。対象となる災害は公募回ごとに指定されますので、最新の公募要領でご確認ください。

罹災証明書は、災害支援枠が無くても通常枠で効きます。これが「枠が出るかどうかに関わらず、まず罹災証明書を取ってください」と申し上げている理由です。

24. よくある質問(FAQ)

Q. 2026年の千葉豪雨でも、災害支援枠は出ますか?
2026年10月9日の時点では、まだ出ていません。国は、千葉豪雨と台風第25号を激甚災害に指定する見込みですが、発表された措置には、中小企業への助成が入っていません。持続化補助金の災害枠は、国が別に決める補助金です。中小企業庁と、お近くの商工会・商工会議所の発表を、見ておくことをお勧めします。なお、千葉県の独自の補助金(被災小規模事業者再建支援事業)は、公表されています。

Q. 千葉県が出す補助金はありますか?
あります。千葉県が、令和8年8月千葉豪雨で被災した小規模事業者向けに、被災小規模事業者再建支援事業を公表しています。補助上限は100万円(下限10万円)、補助率は2/3以内で、施設の修繕費・機械装置費・設備廃棄費が対象です。申請の受付は2026年11月中旬に始まる予定で、締切は12月中旬(1回目)と2027年1月上旬(2回目)です。商工会・商工会議所の支援を受けることが必要です。内容は今後変わることがありますので、お近くの商工会・商工会議所にご確認ください。

Q. 激甚災害に指定されたら、持続化補助金は出ますか?
出るとは決まっていません。激甚災害は、おもに道路や川、農地などの復旧に、国のお金を多く出すための指定です。持続化補助金の災害枠は、国が災害ごとに別に決めます。2021年以降の激甚災害21件のうち、枠が出たのは4件でした。

Q. 申請を専門家に頼んだほうがよいですか?
まずはお近くの商工会・商工会議所の窓口にご相談ください。商工会地域の方は、千葉県商工会連合会の無料電話相談窓口(043-305-5980、9時30分から15時30分、土日祝日を除く)で、専門家に電話で相談できます。各商工会・商工会議所では窓口相談を実施しており、経営指導員の支援を無料で受けられます。災害枠の申請には支援機関確認書が必要ですので、いずれにしても必ず通る窓口です。そのうえで足りないところを依頼なさる場合は、作業の内容と費用を書面でご確認ください。その際は、採択までではなく実績報告まで支援してもらえるかも併せてご確認ください。災害型は採択よりも交付申請と実績報告のほうが明確に手間がかかります。

Q. 成功報酬型で申請を代行してもらってもよいですか?
災害枠の採択率は9割前後で、要件を満たし書類に不備が無ければ通る水準の制度です。採択そのものを成果として高額な報酬をお支払いになる必要はないと考えています。公募要領には、作業量と乖離した成功報酬を請求する事例について中小企業庁の注意喚起が載っており、成功報酬等と称される費用や応募書類の作成代行費用は補助対象外です。また申請書には、支援を受けた相手の名称と、着手金・成功報酬を問わず支払った金額を記入する欄があります。

Q. 災害枠の採択率はどのくらいですか?
令和6年能登半島地震等の災害支援枠は、第1回から9次までの通算で申請4,308件に対し採択3,813件、採択率88.5%でした。令和元年の台風19号を対象とした災害型では、商工会地区の1次公募が申請1,134件に対し採択1,113件で98.1%でした。ただし、これは基礎審査を通った申請書の中での数字です。

Q. 通常枠のような加点はありますか?
災害枠の公募要領には政策加点の規定がありません。令和8年熊本地震の災害支援枠の公募要領には、加点という言葉が1度も出てきません。賃金引上げや認定の取得で審査を持ち上げる余地は無く、計画の中身だけで評価されます。

Q. 罹災証明書は、住まいの分ではだめですか?
事業所の分が必要です。自宅兼店舗の場合の扱いは自治体により異なりますので、申請の窓口でご確認ください。名義も原則として事業者名にそろえます。

Q. すでに修理を終えてしまいました。間に合いますか?
被災した日以降の経費であれば、さかのぼって対象になる可能性があります。過去の千葉県の事例でも、3分の1は申請の時点で修繕を終えていました。ただし、そのときに取得した見積書(相見積を含む)と、支払を証明する書類が必要です。見積を取らずに発注していた場合は、その経費が対象外になることがあります。

Q. 計画書は、どのくらいの分量になりますか?
過去の千葉県の事例では、4つの項目の分量は中央値で事業概要が約1,300字、被災の状況が約420字、計画内容が約570字、効果が約390字でした。合計でおおむね2,700字、自分で立てた小見出しや図表を入れた全体では6,000字前後です。いちばん厚くなるのは事業概要で、4項目の合計の半分近くを占めます。

Q. 水没した車両は、買い替えられますか?
枠によって条件が変わります。令和元年の災害型では被災していない車両の購入も認められましたが、令和8年熊本地震の災害支援枠では、事業に供する車両が被災した場合に限られます。また被災車両の名義が事業者名でないと対象外です。立ち上がった枠の公募要領で必ずご確認ください。

Q. 水に浸かった商品在庫は対象になりますか?
在庫や棚卸資産の損害は「事業用資産の損壊等」に含まれません。在庫の被害だけでは直接被害の要件を満たしませんので、設備や建物の被害もあわせてご確認ください。なお仕入れそのものは、災害枠であっても対象経費にはなりません。

Q. 通常枠と災害支援枠の両方に申請できますか?
同一の取組について重複して受け取ることはできません。また、災害支援枠で採択を受けて補助事業を実施した場合、通常枠の災害加点は使えない扱いになります。どちらで申請するかは、商工会・商工会議所にご相談のうえ決めてください。

25. まとめ

  • 災害支援枠は常設ではありません。大きな災害のたびに、その災害を対象として立ち上がります
  • 最大の特徴は、被災した日にさかのぼって経費が認められることです。交付決定を待たずに修理を進められます
  • 補助上限は直接被害200万円・間接被害100万円です。在庫の損害だけでは直接被害になりません
  • 計画審査は、通常枠の4項目に対して1項目か3項目に絞られ、政策加点はありません。計画の中身だけで評価されます
  • 災害支援枠では被害の程度そのものが審査項目です。写真と、修繕にかかった金額と、休業した日数で書いてください
  • 過去の千葉県の事例は、すべて復旧+販路開拓の5段構成でした。「直すだけ」の申請書はひとつもありません
  • 経営計画書でいちばん厚くなるのは事業概要(中央値 約1,300字)です。手薄になりやすいのは自社の数字と弱みで、どちらも計画審査の「自社分析の妥当性」に効きます
  • 様式2には資金の調達欄があります。補助金が入るまでのつなぎ資金をどうするかを書く欄で、ここが埋まらないなら資金計画が立っていません
  • 採択率は能登の災害支援枠が通算88.5%、令和元年の災害型が98.1%です。ただし基礎審査で失格すると、計画は見てもらえません
  • 補助金は復旧費をまかなうものではありません。対象経費の中央値が約147万円に対し、補助は中央値で約94万円でした
  • 🔴 車両の要件は枠によって変わります。被災していない車両が認められた枠もありますが、被災した車両に限る枠もあります
  • まず罹災証明書を取り、片付ける前に写真を撮り、見積は2社から取ります。枠が無くても通常枠の加点で効きます
  • 🔴 申請を誰かに頼む前に、商工会・商工会議所の窓口にご相談ください。商工会地域の方は、無料電話相談窓口(043-305-5980)で専門家に電話で相談できます。依頼される場合は実績報告まで見てもらえるかも確かめてください。採択率が9割前後の枠ですので、成功報酬型で高額な報酬をお支払いになる必要はありません

あわせて読みたい

出典

  • 小規模事業者持続化補助金<一般型 災害支援枠(令和8年熊本地震)>1次公募 公募要領(第2版・令和8年9月16日)「12.採択審査」および「表1:審査の観点」
  • 小規模事業者持続化補助金<被災小規模事業者再建事業(令和元年台風第19号等)>公募要領(令和2年4月6日版)「6.採択審査」および「表1:審査の観点」
  • 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版・2026年7月21日)および公募要領(第6版)「審査の観点」
  • 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金<災害支援枠>」各回の採択発表(第1回〜第5回・第7次〜第9次)
  • 中小企業基盤整備機構「小規模事業者持続化補助金 災害支援枠(6次締切)の採択者が公表されました」(令和7年7月1日)
  • 中小企業庁「石川県の皆様へ 令和7年度補正予算『小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)』」
  • 日本商工会議所「平成30年度第2次補正 小規模事業者持続化補助金<追加公募(千葉県災害対策型)>」
  • 経済産業省「令和8年8月13日からの大雨」「令和8年台風第25号」に伴う被災中小企業・小規模事業者支援措置の発表
  • 千葉県「令和8年8月千葉豪雨により被災した小規模事業者向け補助金(被災小規模事業者再建支援事業)」および制度概要(チラシ・令和8年10月7日時点版)
  • 内閣府「最近の激甚災害の指定状況について」
  • 小規模事業者持続化補助金<一般型 災害支援枠(令和8年熊本地震)>1次公募 よくあるご質問(アドバイスを受けた第三者の名称・支払額の記入について)
  • 千葉県商工会連合会「事業環境変化対応型支援事業 無料電話相談窓口」「無料経営相談」「経営支援(窓口経営相談・窓口専門相談)」「専門家派遣(エキスパートバンク)」「被災支援・相談窓口」
  • 本記事の割合・金額・被害の内訳は、筆者が令和元年の台風で支援した千葉県内の申請書を集計したものです
  • 内閣府「令和8年梅雨前線豪雨から台風第25号までの一連の気象現象による災害に係る激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の新たな適用措置の追加指定見込みについて」(令和8年10月9日)/内閣府「過去5年の激甚災害の指定状況一覧」/日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金事務局「平成28年度熊本地震対策型」「平成30年7月豪雨対策型」「北海道胆振東部地震対策型」「令和元年度 台風19号型」「令和3年度 佐賀災害対策型」/中小企業庁「令和2年7月豪雨 被災中小企業者等支援策ガイドブック」

公募回ごとに対象の災害・地域・金額・費目・期限・審査の観点が変わります。申請の前に、必ず最新の公募要領でご確認ください。

ご注意(免責事項)
本記事は制度の正確な理解に努めて作成していますが、申請にあたっては必ず最新の公募要領・参考資料・よくあるご質問をご確認ください。とくに災害枠は、対象の災害ごとに要件・金額・費目・期限・審査の観点が異なります。また、申請書の書き方に関する記述は筆者の実務経験にもとづく個人的な見解であり、補助金事務局・中小企業庁・経済産業省の公式見解とは異なる場合があります。掲載した集計は過去の公募回のものであり、今後の公募で同じ扱いになるとは限りません。過去の事例は事業者が特定されない形にしており、金額は概数にしています。最終的なご判断は、商工会・商工会議所や事務局にご確認のうえお願いいたします。

筆者プロフィール
中小企業診断士・応用情報技術者です。金融機関の窓口相談を9年間担当し、並行して商工会・商工会議所の窓口相談を10年以上務めています。延べ500社超のご相談に対応しており、小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超となっています。令和元年の台風で被災した千葉県内の事業者の申請支援にも数多く携わりました。千葉県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家を務めています。

参考(一次情報)
・災害支援枠(令和8年熊本地震)事務局/災害支援枠(令和6年能登半島地震等)事務局
・補助金事務局(公募要領・様式のダウンロード):商工会地区/商工会議所地区
・中小企業庁 補助金採択結果

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

中小企業診断士・応用情報技術者。金融機関の窓口相談を9年間担当し、並行して商工会・商工会議所の窓口相談を10年以上担当。延べ500社以上に対応し、小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超。千葉県商工会連合会 エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家。

目次