はじめての持続化補助金|制度の全体像と、使う前に知っておくこと

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓の取り組みにかかった経費の3分の2(上限50万〜250万円)が、事業を終えたあとに戻ってくる制度です。ただし、お金が先に入ってくる制度ではありません。着手から入金まではおよそ1年かかり、その間の支払いはすべて自社で立て替えることになります。

このページは、はじめて検討される方に最初に読んでいただく1枚として作成しています。制度の骨格、自社が対象になるか、いくらもらえるか、使う前に知っておくことを、この順に整理いたしました。

補助金とは何か ── 給付金・助成金との決定的な違い

補助金と給付金の違いは、審査があるかどうかにあります。給付金・協力金・助成金は、要件に合致していれば受け取ることができます。一方で補助金は、提出した事業計画が審査され、通らなければ1円も支給されません。

補助金は、経済産業省・中小企業庁を中心に、その年の国の政策を達成するために実施されています。国の施策に合った企業へ交付するのが制度の成り立ちであり、2024年以降、賃上げに関する要件が必ず付くようになったのはそのためであると考えています。

なぜ国は「経営計画を作れ」と求めるのか

経営計画を作成した企業は、作成していない企業と比較して収益性が高く、廃業率が低いことが統計で示されています。国や自治体が経営計画の策定を支援しているのは、この傾向を根拠にしているものと考えています。

つまりこの補助金は、設備を買わせることが目的ではなく、計画を作らせることが目的の制度となっています。ここを取り違えると、書類は揃っていても採択されません。

事業計画は3つの部品でできています

#部品中身様式2のどこか
現状分析内部環境(経営指標・強み・弱み)+外部環境(市場・顧客・商圏)経営計画書
経営目標分析を踏まえた方向性と数値目標経営計画書
アクションプラン①②で導いた経営課題を解決する具体策補助事業計画書

①②が経営計画書、③が補助事業計画書にあたります。現状と目標のギャップをどう埋めるかを抽出することが、計画づくりの最重要点であると考えています。この構造は持続化補助金に限らず、ものづくり補助金等の他の制度にも共通しています。

自社は対象になりますか

まず従業員数を確認します。商業・サービス業は5人以下、製造業その他は20人以下が小規模事業者の要件となっています。

🔴 従業員の数え方が変わっています

基準は「解雇の予告を必要とする者」となっています。通常の雇用で5人以上いる場合、商業・サービス業では申請できません。パートの多い事業者は、雇用契約書で確認しておく必要があります。

次に業種を確認します。医師・歯科医師、組合、系統出荷のみの農家、開業届を出していない方は対象外となっています。ただし、農業でも6次化事業は対象になります。米農家が自社で精米・袋詰めし、道の駅で販売する場合がその例です。

いくらもらえますか(第20回)

区分内容
基本の補助上限50万円
補助率2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)
インボイス特例+50万円
賃金引上げ特例+150万円
両特例を満たす場合最大250万円
創業型200万円(インボイス特例で250万円)

補助率は3分の2となっています。50万円を受け取るには75万円の支出が必要であると考えておく必要があります。

枠は「必要額から逆算」して決めます

窓口では、先に枠を選んでからご相談に来られる方が多くなっています。私は、順序が逆であると考えています。まず事業計画を作成し、何にいくらかかるかを見積もったうえで、金額に合う枠を選ぶ必要があります。見積もらないうちは、どの枠をお勧めすることもできません。

必要な支出額検討する枠
75万円未満特例なしの一般型
75万円以上・創業まもない創業型
75万円以上・従業員がいる賃金引上げ特例
300万円を大きく超えるものづくり補助金等の別の制度

予算規模が合わないときは、制度そのものを選び直す方が早い場合があります。→ どの補助金を使うべきか

🔴 使う前に知っておくこと(3つ)

ここは他のサイトがあまり書かない部分ですが、判断の土台になる部分です。私は、読んで「自社には向かない」と感じられた方は、無理に使わない方がよい制度であると考えています。

① 設備投資の総額は変わりません

補助金は精算払いです。補助される分も、いったんは全額を自社で支払う必要があります。入金は事業がすべて終わり、実績報告が認められたあとであり、申請から数えれば1年近く先となります。

また、補助金は入金されますが、売上の向上は約束されません。実施してみなければわからない部分が残るため、分析を尽くして効果の高い施策を選ぶ必要があります。活用には一定の体力(手元現預金、または資金調達の余力)が必要であると考えています。

② 事務手続きの量は、補助金額に関係なく同じです

購入したものすべてについて、見積書・発注書・納品書・請求書・振込明細・写真の6点が必要となります。50万円でも250万円でも、1点あたりの手間は変わりません。点数を増やすほど、事務負担だけが増えることになります。

③ 返還のリスクがあります

賃金引上げ特例を使って要件を達成できなかった場合は、補助金を返還することになります。また、補助金は課税対象であり、持続化補助金は雑収入として扱われるのが一般的です。

申請から入金まで、どのくらいかかりますか

全体でおよそ1年かかります。意思決定から実際の導入までは、どんなに急いでも半年を要します。

持続化補助金 申請から入金までの流れ 準備、様式4の発行、申請、審査と採択、交付申請と交付決定、補助事業の実施、実績報告、入金の8段階。全体でおよそ1年かかる。交付決定日より前の発注は補助対象外。 持続化補助金 申請から入金までの流れ ① 準備・計画 自社分析 計画書の作成 1〜3か月 ② 様式4 商工会・商工会議所 が発行 締切 12/4 ③ 申請 電子申請 GビズIDが必要 締切 12/15 ④ 審査・採択 採択通知が届く まだ発注不可 約3か月 ⑤ 交付決定 交付申請の後 ここから発注可 1〜2か月 ⑥ 事業の実施 支出は全額立替 振込・写真は必須 数か月 ⑦ 実績報告 証拠書類を提出 補助金額の確定 1〜2か月 ⑧ 入金 請求書を提出 後に振込 2〜3か月 着手から入金まで、全体でおよそ1年。補助金は先に立て替える制度。
#段階内容目安
準備・計画自社分析、計画書の作成1〜3か月
様式4商工会・商工会議所が事業支援計画書を発行締切 12月4日
申請電子申請(GビズIDが必要)締切 12月15日
審査・採択採択通知が届く。この段階ではまだ発注できません約3か月
交付決定交付申請を経て交付決定通知。ここから発注可1〜2か月
事業の実施支出は全額立替。振込と写真は必須数か月
実績報告証拠書類を提出し、補助金額が確定1〜2か月
入金請求書の提出後に振込2〜3か月

くわしくは → 申請から入金までの実務

第20回のスケジュール

  • 公募要領(第7版)公開:2026年5月27日
  • 申請受付開始:2026年11月5日(木)
  • 様式4(事業支援計画書)発行受付締切:2026年12月4日(金)
  • 申請受付締切:2026年12月15日(火)17:00
  • 採択発表:2027年3月頃(予定)

※ 様式4は商工会・商工会議所で発行してもらう書類です。締切間際は混み合いますので、早めにご相談いただく必要があります。

今回に間に合わないと思ったら

急いで薄い計画を出すより、次回に向けて3か月かけて練り込むことをお勧めしています。私は、締切に追われて書いた計画書より、時間をかけて分析した計画書の方が、結果として採択も実施も楽になると考えています。

ベースとなる計画書を1本、作っておく

常に自社の経営課題を把握しておき、課題に合う補助金が出た段階で、その制度に合わせて作り直します。ベースが1本あれば、補助金用の計画は1〜2週間で作ることができます。制度が公示されてから慌てて作り始める方が、いちばん不利になると考えています。

次に読む

ご注意(免責事項)

本ページは制度の正確な理解に努めて作成していますが、申請にあたっては必ず最新の公募要領・参考資料・よくあるご質問をご確認ください。事業計画書の作成方法に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく個人的な見解であり、補助金事務局・中小企業庁・経済産業省の公式見解とは異なる場合があります。最終的なご判断は、商工会・商工会議所や事務局にご確認のうえお願いいたします。個別のご相談は、お近くの商工会・商工会議所の窓口をご利用ください。