【2026年最新】持続化補助金 賃金引上げ特例の新要件:年平均3%の計算方法

第20回(2026年)の持続化補助金で、最も大きく変わったのが賃金引上げ特例です。判定の「考え方そのもの」が変わったため、過去に申請した方ほど注意が必要です。

本記事では、新しい要件「年平均3.0%」の計算方法を、数値例つきで解説します。筆者は中小企業診断士として、商工会・商工会議所の窓口で延べ500社以上のご相談に対応し、採択支援を100社超実施してまいりました。

本記事の情報について
2026年5月27日公開の第20回公募要領(第7版)等をもとに整理しています。要件の細部は変更される場合がありますので、申請時は必ず最新の公募要領・参考資料でご確認ください。

目次

1. 何が変わったのか(旧→新)

項目第19回まで第20回(2026年〜)
賃金引上げ特例の要件事業場内最低賃金を+50円以上1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加
見る対象事業所で最も低い賃金(1人)従業員全体の給与の伸び率
提出する賃金台帳直近1か月分連続12か月分

第19回までは「事業所で一番低い時給を50円上げる」という、特定の1人に着目した要件でした。第20回は「従業員全体の給与総額が、どれだけ伸びたか」という、全体の伸び率に着目する方式へと転換しています。

2. 「年平均3.0%」の計算方法

新要件では、次の2つの期間を比較します。

  • 比較対象期間:補助事業実施期限日を終点とする、連続した12か月
  • 基準期間:その前年同月にあたる、連続した12か月

この2期間で、従業員1人あたりの給与支給総額が、年平均3.0%以上増加していることが要件となります。

1人あたり給与支給総額 = 給与支給総額 ÷ 従業員数

数値例

たとえば、次のようなケースを考えます。

  • 基準期間(前年12か月):給与支給総額 1,000万円/従業員5名 → 1人あたり200万円
  • 比較対象期間(直近12か月):1人あたり206万円以上であれば、(206−200)÷200=3.0% となり、要件を満たします。

ポイントは、「特定の1人をいくら上げたか」ではなく、「全体の平均が3.0%以上伸びたか」で判定される点です。賞与の増減や人員構成の変化も総額に影響するため、賃上げ計画は全体で設計する必要があると考えています。

3. 赤字事業者は補助率が3/4に

賃金引上げ特例に申請する事業者のうち、直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロ以下の赤字事業者は、補助率が2/3から3/4へ引き上げられます。さらに「赤字賃上げ加点」が適用され、優先採択の対象となります。

賃上げに取り組む厳しい状況の事業者を、より手厚く支援する仕組みです。赤字でありながら賃上げに踏み切る事業者にとっては、活用を検討する価値があると考えています。

4. 「賃金引上げ加点」も2.0%方式に統一

特例とは別に、加点項目としての「賃金引上げ加点」も見直されました。第19回までは事業場内最低賃金を+30円以上とする要件でしたが、第20回では1人あたり給与支給総額を年平均2.0%以上増加させる方式に変わり、特例(3.0%)と同じ考え方に統一されています。

区分第19回まで第20回
賃金引上げ特例最低賃金+50円以上給与支給総額 年平均3.0%以上増加
賃金引上げ加点最低賃金+30円以上給与支給総額 年平均2.0%以上増加

5. 申請・実績報告での注意点

  • 賃金台帳は連続12か月分の提出が必要になります。日頃から賃金台帳を整えておくことが重要です。
  • 賃上げは補助事業実施期間にまたがる中長期の約束です。達成できなかった場合の取扱い(補助金の返還等)も、公募要領で必ず確認してください。
  • 毎年10月に地域別最低賃金が改定されます。賃金水準の管理とあわせて、改定の影響も見込んでおく必要があると考えています。

6. よくある質問(FAQ)

Q. 従業員がいない個人事業主でも使えますか?
賃金引上げ特例は従業員の賃上げを前提とするため、従業員がいない場合は対象になりません。なお、個人事業主の青色専従者(家族従業員)の扱いは公募要領で確認が必要です。

Q. 賞与は給与支給総額に含まれますか?
給与支給総額の範囲は公募要領・参考資料で定義されています。賞与や手当の扱いを含め、必ず最新の定義をご確認ください。

7. まとめ

  • 賃金引上げ特例は「最低賃金+50円」から「給与支給総額の年平均3.0%増加」へ変わりました。
  • 判定は特定の1人ではなく、従業員全体の伸び率で行われます。
  • 賃上げ特例の赤字事業者は補助率3/4+優先採択の対象です。
  • 賃金引上げ加点も年平均2.0%方式に統一されました。

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ご注意(免責事項)
本記事は制度の正確な理解に努めて作成していますが、申請にあたっては必ず最新の公募要領・参考資料・よくあるご質問をご確認ください。また、事業計画書・申請書の作成方法に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく個人的な見解であり、補助金事務局・中小企業庁・経済産業省の公式見解とは異なる場合があります。最終的なご判断は、商工会・商工会議所や事務局にご確認のうえお願いいたします。

筆者プロフィール
中小企業診断士・応用情報処理技術者。金融機関の窓口相談を9年間担当した後、商工会・商工会議所の窓口相談として延べ500社以上に対応。小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超。千葉県商工会連合会 エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家。

参考(一次情報)
・小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉第20回 公募要領(第7版)/公募要領 新旧対照表(2026年5月27日)
・中小企業庁 補助金公募情報

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