店舗の改装やバリアフリー化は、持続化補助金でよく取り組まれるテーマです。ただし、工事なら何でも対象になるわけではありません。本記事では、内装工事・改修の対象範囲と、特に注意したい自宅兼用店舗のポイントを解説します。
筆者は中小企業診断士として、商工会・商工会議所の窓口で延べ500社以上のご相談に対応し、採択支援を100社超実施してまいりました。
本記事の情報について
公募要領・手引き等の公開情報をもとに整理しています。費目の取扱いは公募回により変わる場合があります。申請時は必ず最新の公募要領でご確認ください。
1. 対象になる工事・ならない工事
工事関連は、委託・外注費などで計上します。対象の可否は次のとおりです。
| 対象になりやすい | 対象外となる工事 |
|---|---|
| 店舗の内外装の改修工事 | 不動産の取得に該当する工事 |
| バリアフリー化(手すり設置等) | 単なる店舗の移設に関する工事 |
| 生産能力強化のための設備工事 | 住宅兼用店舗の「住宅部分」 |
| 販路開拓につながる店舗改装 | 有償レンタル・貸与目的のスペース改装 |
ポイントは、「内外装の改修」はOKでも、「不動産の取得」に該当する工事はNGということです。建物そのものを取得するような工事は小規模事業者持続化補助金では対象外です。
2. 「単なる移設」「有償貸与目的」はNG
販路開拓や業務効率化につながらない工事は対象外です。代表例は次の2つです。
- 単なる店舗の移設工事:販路開拓につながらない、引っ越しのための工事は対象外です。
- 有償レンタル・貸与目的のスペース改装:他者に貸すためのスペースの改装は対象外です。シェアオフィスやコインランドリーのように、設備を貸し出す形態は対象にならなくなっています。
3. 自宅兼用店舗は要注意
最も相談が多く、注意が必要なのが自宅兼用店舗です。考え方はシンプルで、事業に使う部分はOK、住宅部分はNGです。
そのため、申請にあたっては「どこまでが事業所部分で、どこからが住宅部分か」が、明確に区分されている必要があります。区分があいまいなまま住宅部分を含めて工事費を計上すると、対象外と判断されるおそれがあります。
自宅の一室をサロンや教室にしているようなケースでは、特にこの区分が問われます。図面や使用面積などで、事業利用部分を客観的に説明できるよう準備しておくことが重要であると考えています。
4. 申請のコツ:成果物と販路開拓のつながり
工事関連の経費は、成果物(建物・設備)が残るため、「なぜその工事が販路開拓に必要なのか」を丁寧に説明する必要があります。
たとえば「客席を改修する」だけでなく、「高齢のお客さまが長時間くつろげる客室にすることで、新たな宴会需要を取り込む」というように、工事と売上向上のつながりを示すことが大切です。
5. よくある質問(FAQ)
Q. テナント(賃貸)の内装工事は対象ですか?
賃借物件の内外装改修は対象として検討できます。ただし、原状回復が前提の工事や、貸主が行うべき工事など、ケースにより判断が分かれるため確認が必要です。
Q. エアコン・空調の設置は対象ですか?
業務に必要な空調設備は、機械装置等費や外注費として対象になり得ます。家庭用の汎用品か、業務用かといった観点もあわせて確認します。
Q. 50万円を超える工事の注意点は?
第20回(2026年)からは、1件あたり50万円超(税込)の発注で2者以上の相見積が必要です。工事は金額が大きくなりやすいため、早めに見積を揃えてください。
6. まとめ
- 内外装の改修工事はOK、不動産の取得に該当する工事はNGです。
- 単なる移設や、有償貸与目的のスペース改装は対象外です。
- 自宅兼用店舗は、事業部分と住宅部分の区分が明確であることが必要です。
- 工事は「販路開拓・売上向上とのつながり」を説明することが採択の鍵です。
関連記事(内部リンク)
ご注意(免責事項)
本記事は制度の正確な理解に努めて作成していますが、申請にあたっては必ず最新の公募要領・参考資料・よくあるご質問をご確認ください。また、事業計画書・申請書の作成方法に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく個人的な見解であり、補助金事務局・中小企業庁・経済産業省の公式見解とは異なる場合があります。最終的なご判断は、商工会・商工会議所や事務局にご確認のうえお願いいたします。
筆者プロフィール
中小企業診断士・応用情報処理技術者。金融機関の窓口相談を9年間担当した後、商工会・商工会議所の窓口相談として延べ500社以上に対応。小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超。千葉県商工会連合会 エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家。
参考(一次情報)
・小規模事業者持続化補助金 公募要領(最新版をご確認ください)