飲食店や食品製造業の方から、「業務用の冷蔵庫や調理器具は補助金で買えるのか」というご相談を多くいただきます。結論から言うと、家庭用は対象外、業務用(事業専用)は対象になり得るというのが基本の線引きです。
本記事では、その判断基準を具体例で解説します。筆者は中小企業診断士として、商工会・商工会議所の窓口で延べ500社以上のご相談に対応し、採択支援を100社超実施してまいりました。
本記事の情報について
公募要領・手引き等の公開情報をもとに整理しています。費目の取扱いは公募回により変わる場合があります。申請時は必ず最新の公募要領でご確認ください。
1. 基本の線引き:家庭用はNG、業務用はOK
機械装置等費は、サービス・商品を提供するための機械装置が対象です。一方で、安価な家庭用電気機械器具(家庭用の冷蔵庫・電子レンジ等)は対象外とされています。
| 対象になりやすい(業務用・事業専用) | 対象外になりやすい(家庭用・汎用) |
|---|---|
| 業務用の大型冷蔵庫・冷凍庫 | 家庭用の安価な冷蔵庫 |
| 生産数量拡大のための大型調理器具 | 家庭用の電子レンジ |
| 業務用オーブン・厨房機器 | 一般家電量販店の家庭用モデル |
| 展示販売用ショーケース | ― |
ポイントは、その機器が事業の生産・提供能力を高める業務用のものかどうかです。型番や仕様で業務用であることを示せると、説明がしやすくなります。
2. なぜ家庭用はダメなのか
理由は、パソコンなどと同じく「汎用性が高く、私的にも使えてしまう」ためです。家庭用の冷蔵庫や電子レンジは、自宅でも使える汎用品です。補助金は販路開拓という特定の取組に交付されるため、私的利用ができてしまう家庭用品は対象になりにくいのです。
3. 対象になりやすい設備の例(アクションプラン)
実際の採択事例では、次のような設備が補助事業に組み込まれています。
- 飲食店:仕込み・保管に用いる業務用冷蔵庫、生産数量拡大のための大型調理器具、オーブンレンジ
- 食品製造・卸売:農産物の鮮度保持のための低温貯蔵庫・冷蔵庫
- 葬祭業:付加価値向上のための保冷設備
- 高齢者向けサービス:高齢のお客さま向けの家具・設備
いずれも「新サービスの提供」や「生産能力の強化」といった販路開拓・付加価値向上に直結している点が共通しています。
4. 申請のコツ:「なぜ必要か」を販路開拓と結びつける
業務用設備であっても、「便利だから」「古くなったから」という理由では採択されにくくなります。採択される計画は、設備導入が販路開拓・売上向上にどうつながるかを明確に説明しています。
たとえば「業務用冷蔵庫を導入する」だけでなく、「保管能力が高まることで〇〇の新メニューを提供でき、客単価を向上させる」というように、設備と売上向上を一本の線でつなぐことが重要であると考えています。
5. よくある質問(FAQ)
Q. 業務用でも安価なものは対象外ですか?
1件あたりの金額が小さい支出(少額のもの)は対象としない運用があります。あわせて、業務用であることが客観的にわかる必要があります。
Q. 中古の業務用機器は対象ですか?
中古品の取扱いには条件があります。同一の中古品に対して複数の見積書を揃えるのは、実務的には困難です。なるべく新品で申請するよう検討してください。
Q. 50万円を超える購入で注意点は?
第20回(2026年)からは、1件あたり50万円超(税込)の発注で2者以上の相見積が必要です。早めに見積を揃えてください。
6. まとめ
- 家庭用の安価な冷蔵庫・電子レンジ等は対象外です。
- 業務用・事業専用の冷蔵庫・調理器具・厨房設備は対象になり得ます。
- 採択の鍵は、設備導入を販路開拓・売上向上に結びつけて説明することです。
- 50万円超の購入は相見積が必要です(第20回〜)。
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ご注意(免責事項)
本記事は制度の正確な理解に努めて作成していますが、申請にあたっては必ず最新の公募要領・参考資料・よくあるご質問をご確認ください。また、事業計画書・申請書の作成方法に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく個人的な見解であり、補助金事務局・中小企業庁・経済産業省の公式見解とは異なる場合があります。最終的なご判断は、商工会・商工会議所や事務局にご確認のうえお願いいたします。
筆者プロフィール
中小企業診断士・応用情報処理技術者。金融機関の窓口相談を9年間担当した後、商工会・商工会議所の窓口相談として延べ500社以上に対応。小規模事業者持続化補助金の採択支援は延べ100社超。千葉県商工会連合会 エキスパートバンク登録専門家、千葉県信用保証協会等の各種支援機関登録専門家。
参考(一次情報)
・小規模事業者持続化補助金 公募要領(最新版をご確認ください)